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◆世界遺産探訪




ウルル−カタジュタ国立公園 ★★★★★

種類:複合遺産 所在国:オーストラリア 探訪日:2003年11月


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これがただの奇岩だったら、それほど思い入れはなかったかもしれない。アボリジニの聖地だからか、この地を包んでいる独特の空気にハマった。




[ウルルとカタジュタの魅力]
周囲約9km、高さ348mの一枚岩を、先住民アボリジニは「ウルル(偉大な石)」と呼んでいる。同じく彼らの言葉で「多くの頭」を意味するカタジュタは、その名のとおり大小三十六個の岩が乾いた大地から頭を出している奇岩群。はけで塗ったような何もない大平原では、これらの岩だけが唯一の存在物であるかのような錯覚を覚える。そして、アボリジニが聖地として崇めることは必然という気がする。できることならガイド付のツアーに参加するなどして、この地で受け継がれている物語を少しでも知っておきたい。アボリジニの伝説と目の前の風景が重なったとき、一層の愛着と関心を持ってこの地を楽しめるようになるはずだ。他に類を見ない奇観と先住民の貴重な文化。納得の世界複合遺産である。

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意外に変化に富むウルルの岩肌


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巨岩がにょきにょきと顔を出すカタジュタ




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滑落注意!


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遠くにカタジュタが見える

[ウルル登山]
ウルルはアボリジニの聖地である。自分たちが崇めている偉大な岩を外から来た人間が土足で踏みつけることを彼らは耐え難く思っている。そのことを知ってはいたが登らせていただいた。大地にぽつんと存在しているので距離感が鈍ってしまうが、実は東京タワーを超える高さがあるウルル。急勾配の斜面に張られた鎖をたぐるように上り、最初に一気に高さをかせぐ。そのあとは小幅なアップダウンを繰り返しながら頂上を目指す。なめらかな岩肌と思っていた足下には、カブトエビが住む水溜まりもあれば、しぶとく生き残る雑草も生えている。頂上からはカタジュタがいびつなシルエットを描いているのが遠くに見える。汗で濡れた体を風がなでていくのが気持ちいい。広い大地を眺めていると、「人間なんてちっぽけ」という使い古されたフレーズをつぶやきたくなる。気が付くと無数のハエが「早く出て行け」とでも言いたげにたかっていた。



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