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◆夫婦で世界一周





写日記22.氷河三昧

アルゼンチン(バリローチェ、エル・カラファテ、ロス・グラシアレス国立公園)

2008年1月2日〜1月15日



ビーニャ・デル・マルから夜行バスに乗り、翌朝プエルト・モンに到着。そこから国境を越えてアルゼンチンのバリローチェへ。さらに一気に南を目指してバスに乗り込みたいところだったが、バリローチェに着いたのは夜11時。もうバスはなく、仕方なく宿を探す。


しかしリゾート地として人気のあるバリローチェは、新年をここで迎えた観光客でまだ混雑していた。数軒のホステル(安めの宿)を回ってみたが、ベッドに空きはなく、ロビーのソファーで寝かせてもらう交渉も門前払い。


僕らは夜番の兄ちゃんに交渉し、とあるビルの一階の片隅を明け方まで使わせてもらい、そこで順に仮眠をとりながら夜明かしすることにした。治安の面では問題なさそうだが、建物の中とはいえ暖房が効いてるわけじゃないので寒い寒い。


腹も減り、ひもじさが頂点に達したところで汐見荘のみんなが持たせてくれたオニギリを思い出す。「ほんま、ありがたいよなぁ」と感謝しながらガブリ。具は大量のワサビ!あいつら〜〜!!


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感謝しながら食いついたオニギリの具は大量のワサビ!


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明け方までビルの片隅でやり過ごす。寒くてひもじかった〜


夜明けまでの時間の長いこと。5時過ぎに鳥がさえずりが聞こえ始めたが、まだ外は暗く寒さは一向に和らぐ気配がない。6時ごろにようやく空が白み始めたので、夜番の兄ちゃんに礼を言ってバスターミナルに向かう。


無事南に向かうチケットが取れたものの、バスの出発時刻までまだ半日ある。バスターミナルのベンチで昼過ぎまで仮眠を取り、そのあと軽くバリローチェの町を散歩。疲れを引きずったままカマ(飛行機でいうビジネスクラスみたいなもの)の座席に体を沈めると、凍えることも荷物を気にすることもなく、ようやくぐっすりと眠ることができた。


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山と湖に囲まれたバリローチェ


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雪山を背後にして映える町並み


バリローチェを出たバスは東に針路をとり、大西洋にぶつかると南へ。翌朝、目が覚めると鉱山だろうか、裸の山に無数の無人の機械が黙々と動いていて不気味だった。前方には朝日に焼かれた雲がきれい。朝焼けが終わるころにコモドロ・リバダビアという寂しげな町に到着。


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バスから見た朝焼け。これは本当にきれいだった


コモドロ・リバダビアのバスターミナルで十二時間バス待ち。嫁さんに編み物を習ったり、本を読んだりしながら時間をつぶす。半日バスターミナルにいると、トイレのおばさんや同じくバス待ちをしている家族と仲良くなったりもする。「マサ、一緒のバスだね!」って喜んでくれたジョンは可愛かったなぁ。


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バスターミナルで仲良くなったジョン。動かないで!


夕方コモドロ・リバダビアを出たバスは、翌朝、リオ・ガジェゴスというパタゴニアの交通拠点となる町に到着。眠気も吹っ飛ぶほどの冷気が強い風となって顔にぶつかる。寒風が吹き抜けるバスターミナルで乗り換えのバス待ち。ここまで来るとパタゴニアを目指してやって来た観光客の姿も多い。


そしてバスに乗り込むや否やまた眠りに落ち、目が覚めるとやっとパタゴニア観光の一大拠点となるエル・カラファテの町だった。四日連続の宿無しバス移動はさすがに疲れた。


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ようやくエル・カラファテに到着。疲れたぁ


カラファテでは日本人&韓国人宿のFuji旅館に宿泊。ここでイースター島で一緒だった新ちゃんと再会!「パタゴニアでまた会おう」って別れたのに、僕らが汐見荘で沈没したせいですっかり再会が遅れてしまった。


翌日、新ちゃんと僕らの三人でペリト・モレノ氷河観光に。ロス・グラシアレス国立公園は、数々の氷河や美しい峻峰を有するパタゴニアを代表する観光地で、世界自然遺産にも登録されている。その中でもペリト・モレノ氷河はもっとも手軽に訪れることができ、氷河の崩落も間近で見られる可能性が高いことから一番人気の氷河である。


氷河と言っても、これまで氷河を見たことのない僕はイメージが湧かなかった。しかしバスの窓から氷河が見えたとき「ああ、こういうことか!」とあやふやな知識と氷河の姿が結びついた。


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あれがペリト・モレノ氷河か!今までに見たことのない自然だ


この地域の氷河の形成過程を簡単に説明するとこうだ。偏西風によって運ばれた太平洋からの湿った空気がアンデス山脈にぶつかり大量の雪を降らす。下部の雪が上部の雪の重みで圧縮され氷塊が形成されていく。これが氷河。


氷河を形成する氷塊は滑り、変形し、融解し、先端で分離(崩落)する。降雪量、融解量、分離量のバランスが保たれると一定の量の氷河が存在し続けるというわけだ。ペリト・モレノはそれぞれの量が多い状態でバランスが保たれているので、氷河の動きがアクティブで、先端での崩落も多く見られる。


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近づいてみると氷河の迫力に圧倒される


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陽が射すとその美しさは一層際立つ


ペリト・モレノへやって来る観光客はこの崩落を見るのが大きな目的だが、そう簡単には見られない。どこかでピシッと氷がひび割れる音がしても、それはどこか遠くで発生した音であって間近での崩落はなかなか見られない。すごい轟音が聞こえたほうを振り返っても、それは小さな崩落でしかないこともしばしば。


しかし僕らのいた場所の近くでポロポロと小さな氷塊が落ち始めると、あっという間に幅30メートルぐらいの氷壁が崩落するのを見ることができた。氷塊が水にぶつかる音と大きな水しぶきは圧巻!


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氷河の崩落その一 …氷壁がはがれ始めた


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氷河の崩落その二 …氷塊が水に豪快に落ちる


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氷河の崩落その三 …一帯がきれいに崩落


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大満足の氷河見物ににっこり


汐見荘でだらだらした分を取り戻すかのように、次の日はこれまた新ちゃんと一緒にフィッツ・ロイのトレッキングにチャレンジ。フィッツ・ロイはロス・グラシアレス国立公園の北端に位置するパタゴニアの代名詞ともなっている名山である。


カラファテを早朝にバスで出発し、エル・チャルテンというフィッツ・ロイ観光の拠点となる町へ。その途中の茶屋で初めてグアナコと遭遇。噂どおり目がパッチリとした可愛いヤツ。観光客にも人気で写真を撮られまくっている。に対して、すぐ隣にいた牛らしき動物は全くの人気薄。だって可愛くないもん。可愛そうだから一枚だけ写真を撮ってあげた。


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パッチリした目が可愛くて大人気のグアナコ


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一方、人気薄の不細工な牛(?)


昼前にチャルテンに着いたときには、風が強すぎてまっすぐ歩くのに苦労するほどだったが、トレッキングを始めるころには風もおとなしくなった。トレイルの入り口で記念撮影をしてから、いざ出発!


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フィッツ・ロイを拝みに出発!


平坦なコースだと聞いていたが、最初は結構な上りが続いた。上りが一段落すると展望が開けた。遠くの山々はてっぺん付近に雪を冠り、眼下には蛇行する白い川が見える。


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序盤の上り坂を終えたところで小休憩


天気があまりよくないせいで、展望ポイントらしき場所から見える景色はイマイチ。平坦な道なのでそれほどしんどくはないが、冷たい風が吹き始めると寒さとの勝負になってきた。鼻水が垂れて風になびく。まるで漫画だ。


前方に鋭い峰を持つ山がいくつか連なって見え始めた。そのどれかがフィッツ・ロイかもしれないが、それにしては迫力不足か。ただ、山間に存在する氷河はここがパタゴニアであることをひしひしと感じさせてくれる。


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あれのどれかがフィッツ・ロイ?


フィッツ・ロイもよく分からないし、小雨まで降り出す悪天候。リオ・ブランコという川沿いにあるキャンプ場に到着しても、寒さは厳しくなる一方。じめじめしたサイトにテントを張ると、大量の羽虫が寄って来た。これまでで一番つらいキャンプとなりそうだ。


あまりの寒さに外で食事をする気にもなれず、新ちゃんのテントに集まってラーメンを食う。テントの中は暖まり、かじかんでいた指先も幾分マシになったが、外に出た瞬間すぐにまた凍えてしまう。いろんな場面で思い出と記録を残すために僕は写真をやたらと撮りまくっているが、このときはガチガチに冷えたカメラを持つ気にもならなかった。


しかし、ここまで来たのだから泣き言ばかり言ってられない。翌朝は朝焼けのフィッツ・ロイを拝むために3時半起き。PRO TREKで気温を測ると3.8℃。朝食に食べたバナナの冷たさに歯がしみる。


まだまだ夜明けは遠そうだが、フィッツ・ロイを間近に仰ぎ見られるというロス・トレス湖の展望ポイントを目指して出発。十分ほどキャンプ場から歩くと早くもトレイルを見失う。もともと分かりにくいとの評があるトレイルを、ヘッドライトの明かりだけを頼りに歩くので仕方がない。それらしき獣道をぐんぐん登っていくと、ついに獣道すら見失った。


何回、同じところを行ったり来たりしただろう。ガンガン上ったおかげで体は温まったが、草木を掻き分けながら歩いたせいで足は露でぐっしょり。半分やけくそで上れるところまで上り、小さな沢を越えるとなんとも運良くトレイルに出くわした。一時間で到着するはずが、このときですでに二時間半経過。


朝日は昇っているみたいだが、雲が多くてまだ薄暗い。トレイルに出ても、ロス・トレス湖まで誰とも出会うことなかったので最後まで不安だった。ようやくロス・トレス湖にたどり着くも、山々は厚い雲の中。しかも歩くのをやめた途端、体が冷え始める。そして、雪。真夏だというのに……。僕らは雪から逃げるようにしてキャンプ場まで下山した。


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やっとロス・トレス湖にたどり着くも雲に隠れて山々は見えず。しかも極寒!


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真夏だというのに雪まで降ってきた


キャンプ場で食事をして、昼前にチャルテンに向けて出発。パラパラと降っていた雨もようやく止み、晴れ間が広がりだした。後ろを振り返りながら歩いていると、昨日見た山影の後ろに一段と大きくて背の高い山が雲の中に見え始めた。あれがフィッツ・ロイか!


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帰路、雲が晴れてきた。おお、あれがフィッツ・ロイか!


途中、展望のいい場所でさらに雲が晴れるのを待つ。フィッツ・ロイの周りだけはなぜか雲がまとわりつくようにしてなかなか消え去らなかったが、小一時間待ってやっとその全貌が見え始めた。パタゴニアを代表する名山。圧倒的な貫禄である。とにかく寒くてつらかったトレッキングとキャンプがようやく報われた。


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さすが!ほかの峰とは比べ物にならない貫禄


フィッツ・ロイでのトレッキングの寒さにすっかりへこたれた僕らは、パタゴニアでのトレッキングで一番人気のチリのパイネ国立公園でのトレッキングをやめることにした。そして、その代わりにロス・グラシアレスの氷河観光をとことん楽しむことにした。


まずはウプサラ氷河クルーズに参加。これは公園内の各氷河を観光船に乗って巡るもの。船内は暖房も効き快適だけど、船外では冷たい風が吹き荒びそれなりに疲れる。


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快適な観光船で氷河巡り


このクルーズでの一番の見所は湖に浮かぶ氷塊の青さと先端部の高さが100メートル以上にもなるスペガッツィーニ氷河の迫力。


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氷河の青さはなんとも言えずきれい


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小さな氷塊の浮かぶオネージ湖


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船よりも大きい氷塊もゴロゴロ


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この青さは見ていて飽きることがありません


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高さが100メートル以上にもなるスペガッツィーニ氷河は見応えあり


そして、一日置いて参加した最後の氷河イベントがアイストレッキング。文字通り、一日かけて氷河の上を歩くツアー。朝早くにペリト・モレノに到着すると、虹がかかっている氷河の姿を見ることができた。


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ペリト・モレノに虹が!


ペリト・モレノの脇をしばらく歩く。すぐそばで見ると改めて氷河の大きさを実感。これだけの氷の塊が一日に数メートルとダイナミックに動いているというのだから驚きだ。


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しばらく氷河の脇を歩く。人間と比べると氷河の大きさが一目瞭然


氷河の上を普通の靴で歩くのは危険。アイゼン(スパイクみたいなもの)を靴に装着し、氷河上での歩き方のレクチャーを受け、いよいよアイストレッキングの開始!


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ガイドにアイゼンを装着してもらう


巨大なスケートリンクのような滑らかな面が続いているのかと思いきや、凹凸や亀裂に富んだ景色が広がっている。まるで氷の砂丘のよう。


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砂丘のような氷の世界


しかし、そういう起伏に富んだ景色以上に素晴らしいのが、氷河上の水の存在によって創り出される青色。ウプサラ氷河クルーズで氷自体の青さは堪能したが、ここでは水の青さに目を見張る。浅い水溜まりや川は薄い水色を、底が見えないほど深い水溜まりは濃い青色を醸し出している。


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氷河の上には小さな川や水溜まりが存在する


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底の見えない深い水溜まり。青が濃い


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よく見ると泡が。何万年もの前の空気か?!


クレバスと呼ばれる深い亀裂や川の上を、ガイドの指示に従って越えて行く。ペースはゆっくりだし、景色が次々と変わる楽しいトレッキングだが、一歩間違えれば命を落とす危険性もはらんでいる。油断は禁物だ。


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クレバスに水が流れ落ちている場所。覗き込むだけでスリリング


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氷河のあちこちに青い裂け目が見える


青の美しさのピークを迎えたのが、池といったほうがふさわしいほどの大きな水溜まりにて。白と青のコントラストにただ見惚れるばかり。なぜ青という色をこんなに美しいと思うのか。人類に共通する本能なのか、単なる好みの問題なのか。もしこの美しさを否定する人がいたら会ってみたい。


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この景色。この色。もう言葉が出ません……


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大感激の二人


トレッキング終了後、氷河の氷で割ったウイスキーが振舞われる。氷河の氷は気泡が密でキラキラと光を反射し、見た目にウイスキーのうまさを引き立てる。ペリト・モレノを眺めながら、ほどよい疲れとウイスキーにほろ酔い。もう氷河に心残りはない。


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氷河入りウイスキーで乾杯!


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最後にペリト・モレノをバックに記念撮影


氷河観光を堪能し、カラファテでの最終日は宿でのんびりと。Fuji旅館に置いてある日本の番組のDVDを見たり、漫画を読んだり。こういう日も設けないと長旅は続けられない。……ということにしておこう。


コスタリカで切って以来だいぶ伸びてきた髪を、汐見荘を出てからここで再会したヨシミちゃんに切ってもらう。彼女の得意技はモヒカンカット!涼しくなった頭でさらなる南へ。


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編み編み姉妹


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モヒカン兄弟+α



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