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◆夫婦で世界一周





写日記54.一期一会

マラウイ(ブランタイヤ、リロングウェ)

2008年7月31日〜8月1日



国境を越えてマラウイに入国した。別名、アフリカの滋賀県。国土の多くをマラウイ湖が占めている。人が穏やかと評判のいい国だが、僕らには時間がない。残念ながら通過するだけの国だ。


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夕暮れ時にマラウイに入国


国境からはミニバスに乗って、ブランタイヤというマラウイ最大の都市に向かった。ミニバスには僕らに言い寄ってくる三人の人間がいた。パスポートを持っておらず裏道から入国したマラウイ人の女性。僕らをミニバスまで案内してくれたブランタイヤ在住の青年。イスラム帽をかぶっていて、アラブ系の顔立ちだけどマラウイ人の男性。


パスポートを持っていない女性はモザンビークのテテから一緒だった。「私と一緒に国境を越えましょう」という彼女を最初はただの親切な女性と思っていたが、どこか影がある。そしたらモザンビークのイミグレからマラウイのイミグレまで乗せてくれたタクシーの運ちゃんがこっそり教えてくれたのだ。「彼女はパスポートを持ってないんだ」と。


ミニバスに案内してくれた青年は物静かだった。南アフリカに出稼ぎに行く予定だったのに、風邪を引いたから途中で引き返してきたというのは本当か嘘か分からない。でも害はなさそうな人間だったので、クッキーをおすそ分けしたりして仲良くしておいた。


ムスリムの男は、荷物を自分の横に置くために二席分の料金を払っているぐらいだから金には困ってなさそうだ。しかし、だからと言って油断はできない。そもそも言動が横柄な彼とはあまり言葉を交わしたくなかった。


この三人が僕らの宿について心配してくれている。ブランタイヤに着いたら宿まで連れて行ってあげると言う。マラウイは人がいいと聞くが、そう簡単に信じるわけにはいかない。消去法で考えてみる。


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吸い込まれそうな大きな目


まずパスポート不所持の女性は却下。こんな怪しい女とは一刻も早く別れたいぐらいだ。ミニバスまで案内してくれた青年は、物腰が柔らかく一番信用できるが、運賃徴収のときに僕らにバス代を払わせようとしたので却下。気まずくなったのか、その後彼は全く話しかけてこなくなった。


残るはムスリムの男。「自分たちでなんとかするからといい」と断ってみるが、「弟が車で迎えに来るから心配しなくていい」と言い張る。いやいや、心配の種はあなたなんですけど……。親切を通り越して強引だったので警戒したが、マラウイ一の都会に夜中に到着するのが不安でもある。


僕らは中東を旅した経験からムスリムに対して、一般的にとても親切で道徳的な人々という評価を下している。彼の目の前で、嫁さんと「この人、信用できると思う?」なんて日本語で話し合った結果、彼の弟やらの人相を見て最終決断を下そうということに決めた。


バスを降りるとすぐに迎えの車が来た。それが商売用のトラックだったこと、運転していた男がいい顔(ハンサムという意味ではない)をしていたことを決め手に僕らはトラックの荷台に乗り込んだ。


彼らはいくつかの宿を回り、空き部屋や料金を聞いてくれた。そして僕らが泊まる場所を決めると、「今度マラウイに来たら必ず連絡してよ」と電話番号だけ渡してあっさりと去っていった。拍子抜けするほどにただの善人だった。僕らは判断が間違っていなかったことに安堵し、そして彼らの無償の親切に感謝した。


ドミトリーが空いていたが、白ちゃんの若者たちで騒がしそうだったのでテント泊にした。併設のバーでバカ騒ぎしている一団の声が漏れてくる。もう夜も遅いので買出しにも行けない。疲れとひもじさと寒さがこたえる夜だった。


夜が明けないうちにテントをたたみバス停に向かった。首都リロングウェ行きのバスはすぐに見つかり一安心。リロングウェに着くとすぐにダルエスサラーム行きのバスを探した。週二便しかないバスだが、運のいいことにちょうどこの日の晩に出発するバスがあった。ダルエスサラームまで行けばザンジバルはもうすぐそこだ。


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カラフルな生地から服を作る路上の服屋さん


大きな荷物をチケットオフィスに預けて、出発までリロングウェの町をそぞろ歩き。一応一国の首都だけど、高層ビルなんかは全く見当たらない。モザンビークで出しそびれていた絵はがきを郵便局に出しに行くと、日本人らしき二人を見つけた。


声をかけてみると、彼らは青年海外協力隊の一員だった。奇遇にもカーマ・サイ保護区で会ったヤマダさんとは同期とのこと。この広いアフリカで、日本人の少ないアフリカで、こうやって知り合いの輪が広がっていくのは運命的な感じさえする。僕らもビックリしたが、彼らも驚いていた。「マラウイに日本人の旅行者がいるなんて!」


年長のカザオリさんが「さすが地元民!」とうならざるを得ない、路地裏の屋台に連れて行ってくれた。そこでフライドポテトをご馳走になった。周りは黒ちゃんばかり。だけど、日本人と日本語で話しているだけで、そこには心地よい日本の空気が流れていた。ないものねだりに違いないが、ほとんど日本人に会うことのないアフリカで自分がいかに日本人を欲しているかということを思い知らされた。


二人に礼を言って、堅い握手で分かれると、僕らは旅に戻った。


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ご馳走様でした!



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