[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
![]() |
|
◆夫婦で世界一周 |
|
◆ホーム
|
写日記47.エトーシャ動物図鑑ナミビア(エトーシャ国立公園) 2008年7月2日~7月5日 ナミビアのエトーシャ国立公園。エトーシャ塩湖をはじめ、草原地帯や森林地帯などの多様な自然から成る広大な公園は四国ほどの広さにもなる。一般観光客がゲームドライブ(車で動物を探すこと)できるのはエトーシャ塩湖の南側一帯に限られるが、その東西距離だけでも150キロあるから、一日ではとても足りない。僕らは丸四日間、エトーシャで動物観察に明け暮れた。
開園時間の日の出前にはゲートに並び、閉園時間の日の入ギリギリまで動物を探す毎日。エトーシャがゲームドライブで有名なのは、道路沿いにある水場で簡単に動物観察ができるからだ。でも、水場はいくつもあって全てを見て回ることはできないから、どこを攻めるかという決断は自分たちの勘と情報収集に委ねられている。
夜間はゲームドライブが禁止されているので、公園内の宿泊施設のそばにある水場で動物を観察することしかできない。僕らも公園内のキャンプ場に泊まって、運がよければライオンの狩りも見られるという夜のエトーシャを楽しみたかったが、残念ながらハイシーズンのため予約でいっぱいだった。 それでも水場に動物たちが現れやすいという乾期を狙ってきた甲斐もあって、多くの動物に出会うことができた。以下に僕らが見た動物たちを簡単にご紹介。 シマウマ エトーシャに入園して最初に見つけた動物がシマウマ。まだ朝のオレンジ色が支配的な風景の中で、白と黒の縞模様が動いていた。自然界に存在するものとしては不自然なほどの奇抜なデザインに感動したものだ。
百頭はいるんじゃないかという大群のシマウマ、互いの背中に首を乗せて休むシマウマ、体を冷やすために泥パックをしたシマウマなど、エトーシャ滞在中いろんな姿のシマウマに楽しませてもらった。
しかし、いかんせん数が多すぎた。そしてウマというほどスマートな体形でないシマウマ。終盤には遠くや草むらの中で動く動物をシマウマと確認したら、「なんやシマブタか」とスルーするのが当たり前になっていた。
アフリカゾウ 地上で一番大きな生物、アフリカゾウ。やっぱりこいつを見ないことには始まらない。長い鼻をうまく使って水を飲んだり、草を食べたりしている姿は平和そのものだ。
カワイイというイメージが先行しているゾウさんだが、かなり危険な動物だ。怒ると凶暴極まりないし、足も速い。そのことを期せずして思い知らされたのは二日目の夕方。立派な牙を持つオスのゾウを道路脇に見つけて、しばらく近距離からの観察と写真撮影を楽しんだあとのことだった。
閉園まで間もないので急いで帰ろうと思ったら、そのゾウは僕らの前方を歩いていた。その横を抜けようとアクセルを踏むと、その瞬間、車の動きを察知して巨体がひらりとこちらを向いた。「うわっ、ヤバい!」 幸い彼は僕らを深追いはせず、冷たい目でにらんでいるだけだったが、ゾウの殺気を感じてしまった僕らはじっとしているしかなかった。結局、そこを通るには彼が森に入っていくまで十五分以上待たなければならなかった。
こんなに怖いゾウだけど、子ゾウはやっぱりカワイイ。最終日の日没前、「これが最後やな」と向かった水場にはゾウの群れが水飲みに来ていた。よく見ると、子どもが二匹。一匹は母ゾウの体の下にすっぽり入ってしまうほどの小ささ。 母親が我が子を一生懸命自分の体で護ろうとしている母性愛そのものの姿は微笑ましかった。でも、遠くからで十分。子どものいる母ゾウは気が荒いというし……。
キリン でかいくせに臆病者。かなり離れた場所からでも車を見つけると、じっと動きを止めてこちらの様子を伺っている。いかにも気の弱そうな目をしているので、「何もしないよ」と教えてあげたくなる。
全く攻撃的な様子を見せない穏やかなキリンは癒し系。ゾウの踏み潰し、シマウマの後ろ蹴り、バッファローの突撃など、草食動物でもそれぞれ必殺技を持っているものだが、キリンについては聞いたことない。仲間内では長い首をぶつけ合ってケンカしていたが、あれはほかの動物には使えないしな……。
最後のほうは見飽きるほどだったけど、何をしていても絵になる姿に最後までカメラを構えっぱなし。エトーシャを駆け回った四日間、キリンだけで二百枚以上の写真を撮ったことを報告しておこう。
ライオン ライオンを初めて見たのは二日目の朝、ゲートをくぐって車を走らせているときだった。道路を横断しているのを前方に見つけて急いだ。いたのは二匹のオス。第一印象は「でかい!」
大型犬を一回り大きくしたぐらいと想像していたが、普通に歩いているだけで車の窓から顔を出す僕の視線と同じぐらいの高さがあった。続々と集まってくる車には目もくれず、堂々と歩む様はさすがの貫禄。
情けないことにライオンは死肉を漁ったり、ハイエナの獲物を横取りしたりするらしい。さらに狩りをやるのは主にメスなので、オスライオンというのは意外に甲斐性のないヤツだ。
その後、昼間に見つけたライオンたち(いずれもオスばかりだった)はひたすら眠ってばっかり。全くその姿はだらしないほどだったが、どこでものうのうと寝ることができるところに「百獣の王」の余裕を見た。
イボイノシシ 地味な存在ながらも、隠れファンは多いはずと僕が勝手に確信しているのがイボイノシシ。決して美形ではないけれど、終始愛嬌たっぷりの姿に癒される。 水場にいると、突然森の中から二匹のイボイノシシが小走りで登場する。「はいはいどうも、ちょいと失礼しや~す」なんて芸人風の語りが似合いそうな三枚目ぶり。
水にありついたら一安心。両前足を膝で折り曲げ、前かがみになって一生懸命水を飲んでいる。飲み終わったら、何かに怯えるようにすぐに森へと駆け出す。
ときどき何かを思い出したように振り返り、何の意味があるのか尻尾をぴんと立てたりする。てけてけてけ、という効果音が似合いそうな走り方。「どうも、失礼しやした~」という声を僕の空想に残して森に帰っていく。
スプリングボック アンテロープ(一見シカっぽいウシ科の草食動物)はエトーシャでたくさん見ることができるが、中でも多いのがこのスプリングボック。シマウマと生息域が重なるのか、一緒に見かけることが多かった。 短い尻尾をふりふりしながら草を食べている姿は可愛らしいが、顔があまり僕好みではなかった。本当によく見るので、「またボックンや」と素通りすることが多かった。
インパラ これもよく見るアンテロープの一種。これがウシの仲間だとはちょっと信じられないほどシカにそっくり。後ろから見ると尻尾と両太腿に黒い線が入っていて、川の字となっているのが特徴。オスには立派な角が生えている。
多くのメスを従えているのは勝ち組のオス。ときにはオス一匹に数十頭のメスという大きなハーレムもある。負け組のオスたちは集まって傷を舐めあい、ハーレム奪取のチャンスを伺っているとか。インパラ社会も楽じゃありません。
オリックス オリックスレンタカーやオリックスブルーウェーブは知ってるけど、そもそもオリックスって何?動物ということすら意識したことがなかったような……。 エトーシャで初めて見たオリックスは二本のまっすぐ伸びた角が遠くからでもよく分かるカッコイイヤツだった。でも途中からは見飽きたこともあり、ウシ科っぽいだぶついた体つきに目が行くようになってしまった。
クドゥ ねじれた角が印象的なオスのクドゥ。双眼鏡でよく見ると、顔つきもかなりハンサム。体も大きいし、数もそれほどいないので、見つけたらちょっと嬉しいアンテロープの一種。
僕以上にクドゥにハマっていたのは嫁さん。その姿を見つけると「あ、シシ神様(from もののけ姫)や!」と嬉々としていつも双眼鏡を取り出していた。
ヌー 正直、見つけてもあんまり嬉しくないヌー。色は地味だし、顔も不細工、そしてやけに細い足。「こりゃライオンキングの世界でも脇役にしかなられへんな」というような風貌だ。 新しい動物のアイデアに困った神様が、ウシの角、ヤギのあごひげ、ウマのたてがみと尻尾、カモシカの足をくっつけて創ったという話があるが、それもうなずけるほどちぐはぐな印象を受けた。
以上のように一種一種をクローズアップするんだったら、動物園で十分じゃないかというツッコミもあるかもしれない。しかしエトーシャは動物園とは違う。公園全体はフェンスで囲まれているものの、広大な公園内だけで食物連鎖が成立し、あらゆる動物は弱肉強食の世界から逃げることはできない。そして、そういう厳しい世界の中で動物たちは生き残りをかけて、子孫を残し続けているのだ。 そんな環境だから、エトーシャでの動物観察では人間関係ならぬ動物関係や各種の個性を素人なりに発見することができた。「百獣の王」と呼ばれるべきは実はライオンではなくてゾウではないかと感じたり、同じ草食動物でもオリックス>シマウマ>スプリングボックという序列があるということに気付いたりした。臆病者を英語でチキンというけれど、ジラフ(キリン)のほうがいいんじゃないか、と思ったり……。 動物を探すワクワク感、見つけたときのドキドキ感を存分に満喫した四日間。どの動物もそれ単体ではなく、周りの木々や空の色とともに記憶がある。それは僕たちだけが見た、僕たちの思い出だけに残るシーンばかりだ。
|