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写日記12.ついでのパレンケ遺跡メキシコ(パレンケ) 2007年10月10日〜11日 メキシコシティのあとはベリーズに向けて移動するつもりだった。キーカーカーという小さな島でカリブ海がお手頃に楽しめると聞いたからだが、出発直前にネットで調べてたらビーチはあまりきれいでないとの情報あり。ビザ代も高いし、それならまずはグアテマラに入って、カリブ海はまた別の機会にするか、と急遽予定を変更した。 というわけで、次の目的地はグアテマラのティカル遺跡。しかし、メキシコ各地へのバスが発車しているメキシコシティでも、さすがに国境を越えてティカルまで走るバスはなさそうなので、まずはパレンケという町を目指すことにする。 バス会社がえらいきっちりとしていて、荷物室に入れる荷物はあらかじめ預けなければならず、その上、乗車前には手荷物チェックとボディチェックまであった。嫁さんのウエストポーチにあったアーミーナイフが見つかり、どうなることかと思ったが、チェックした男は嫁さんの別のリュックにナイフを入れ替えて満足したようだ。それも車内に持ち込むんだけど……?しっかりしているのか、ずさんなのか、なんとも言えないところである。
バスターミナルを出発してからしばらくは、「こういうところがメキシコシティは治安が悪いと言われる所以なんかなぁ」と思うようなガラの悪い場所を走る。貧民街と呼ばれる地域だろう。メキシコはいい国だ!なんて能天気に言えなくなってくる。 快適な高速道路を走るようになると、右手に山が見えてきた。山頂部は白く雪に覆われている。メキシコで雪山とは違和感があったが、メキシコシティでも標高が2,000メートルを超えることを考えると、確かに雪が降ってもおかしくない。
一晩走り続けたバスは朝6時過ぎにパレンケに到着。一方、ティカル方面へのバスはパレンケを6時に出発済み。パレンケで丸一日時間ができてしまったことになる。一夜だけの宿を探し、シャワーを浴びて、タコスで腹を落ち着かせると、パレンケという地名を有名にしているパレンケ遺跡へと向かった。
パレンケ遺跡はマヤ文明を代表する遺跡の一つで世界文化遺産にも登録されている。遺跡ファンには見逃せないポイントだろうけど、凡人の僕らはそれほど興味があったわけではない。マヤ遺跡ならティカルだけで十分とも考えていた。「まあ時間もあるし、ついでに見とこっか」という程度である。 敷地も広大で、ピラミッドも巨大だったティオティワカンと比べると、パレンケはこじんまりとしている。しかし、ロケーションがいい。すぐそこにジャングルが迫っている。少し放っておけば、再び生命力に満ち溢れた植物たちに覆い尽くされてしまいそうなのである。
未だ多くの謎に包まれているパレンケ遺跡。たまたま発掘作業に当たっている学生さんと話をすることができた。「何が見つかるの?」と間抜けな質問をした僕に、「私にも分からない。何も出てこないかもしれないしね」と笑っていた。そりゃそうだ。いつぞやあった「神の手」の持ち主でもあるまいし(笑)。
学生さんと話している間にぽつぽつと降り始めた雨が次第に強くなってきた。地面に商品を並べていた土産売りたちが、慌てる様子もなくカバーをかけている。中には雨ざらしのままのものもある。 僕らは遺跡の中で雨宿りする。自分が濡れさえしなければ、雨の遺跡を鑑賞するのは悪くない。カンカンに晴れてるよりも雨降りのほうが、ここで昔暮らしていた人たちがいるという実感が湧きやすい。同じように雨宿りしていた人がいたのかなぁ、なんて往時に思いを馳せることができる。
パレンケ遺跡の目玉となっている神殿群も悪くなかったが、僕らが一番楽しめたはここから博物館への抜け道。人通りがほとんどなく、進むに連れて樹木の密度が濃くなっていく。そこに、まともに修復もされず今なお朽ちゆくような遺跡がひっそりと存在している。 さらに進むと、もう遺跡すら見当たらず、ジャングルの中に敷かれた遊歩道をただ歩くことになる。小さな滝が現れ、板のような根を下ろした巨木が立っている。生き物に満ち溢れていそうで、意外とそうでもないのか、しんと静まり返っている。 正直、遺跡鑑賞よりもこのプチトレッキングが僕らにとってはパレンケのハイライトだった。何か動物が出てこないかとドキドキしながらジャングルを歩くのは、思いのほか面白かった。中米の自然大国と言われるコスタリカでは熱帯雨林でのトレッキングに挑戦するつもりだが、パレンケのあの抜け道のほうがよかったやん!とならないことを祈っている。
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