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写日記14.湖畔の村でスペイン語学習グアテマラ(アンティグア、サンペドロ・ラ・ラグーナ) 2007年10月14日〜25日 町並みの美しさと歴史的価値が評価され世界文化遺産に登録されているグアテマラの古都アンティグア。石畳の通りの両側にはけばけばしくならないよう細心の注意を払ったようなパステルカラー調の家屋が立ち並ぶ。晴れれば富士山のように形のよい山が町の背景として映え、雨が降ればしっとりと濡れた石畳は独特の風合いを醸し出す。 好意的に描写したアンティグアはこんな感じだ。しかし、「えっ、これが世界遺産?」というのが正直な感想。想像していたよりもずっと騒がしく、俗っぽく、古都としての魅力が際立っていない。
ここアンティグアで初めて日本人宿(日本人旅行者が集まる安宿。経営者が日本人の場合が多い)で身を休めてみたが、心が休まらない。自分たちの話すことが周りの人に理解される。周りの人が話すことが理解できる。日本人のいない環境にすっかり慣れてしまった僕らには、これはありがたさ以上に窮屈感を伴うものだった。部屋で嫁さんと話すときにはお互い自然と小声になってしまうのには苦笑した。 アンティグアへはスペイン語学校に通うつもりでやって来た。しかし、どうも相性が合わないみたいだ。僕たちはもっとのんきに安くスペイン語を勉強できる環境を求めてアティトラン湖畔のサンペドロ・ラ・ラグーナに移動することにした。
サンペドロは小さな町だった。村と呼んだほうがしっくりとする。村を一周するのに一時間もあれば十分。しかし、石畳の坂道が多く息が上がる。世界一美しい湖とも言われるアティトラン湖は世界一という形容には疑問符がつくものの、天気と時間によって刻々が色合いが変わる確かに美しい湖だった。 ほかの湖畔の村々へのボートが発着する二つの桟橋があり、主にその間にサンペドロの主要機能が集中している。二つの桟橋を結ぶ近道はあぜ道みたいなもの。この道は後ほど僕らの通学路にもなるのだが、雨が降るたびに道が川となり急勾配の坂道を上って迂回せざるをえないのは閉口した。 そしてサンペドロの一番の魅力は村人がすれてないことだ。見知らぬ外国人にも「Hola!」と声をかけてくれる素朴な人が多い。物価も安い。イスラエル人とドイツ人は世界の「穴場」を見つけるのが得意だ、という話を聞いたことがあるが、なるほどサンペドロはイスラエル人が実に多かった。
一泊の料金が40ケツァール(約640円)と格安の宿に投宿していたが、水道水がほのかに緑色のあることとトイレの匂いが部屋に漂うのが嫌で宿をグレードアップすることにした。嫁さん、僕と順番に体調を崩していたので、スペイン語学校への通学を控え、清潔感あふれる新しい宿で心身そして脳みそともにリフレッシュしようという意図もあった。 簡単な挨拶と数字ぐらいしか知らない状態で始まったスペイン語学校への通学。授業はスペイン語と英語を交えながら、きれいに手入れされたガーデンで進んだ。晴れていると気持ちがいいが、雨が降ると寒すぎてトイレに行く回数が増えてくる。 僕の先生は美人のホセファ、嫁さんの先生は大柄なデリア。マンツーマンの授業なので先生との相性が全てなのだが、僕らは二人ともそれぞれに合った先生でラッキーだった。必要に駆られて自発的に学習しているので上達が早い気がする。嫁さんもそれは感じているようで、食材の名前を一つ覚え、それが地元の市場で通じることで確実な手応えと充実感を覚えながら勉強を楽しんでいるみたいだ。 五日間の通学はあっという間に終わった。動詞の現在活用とcan、want toなどの便利表現を習っただけで、過去形も関係代名詞も未だ知らないまま。それでも、いままで何の基礎もなかったスペイン語について、頼りないけど小さな踏み台を築くことができたように思う。踏み台を活かしてさらにステップアップするかどうかは今後の自分たち次第だけど、まだまだ続く中南米の旅に向けての役立ちアイテムを手に入れたことは確かだ。
夜中に歩いても危険を感じないのどかな村で、通学というルーティンワークをこなしながら結局十日間を過ごした。終わってみると「えっ、十日もいたん?」というほど早い時の流れだったが、日本を出発してから二ヶ月、いいタイミングで旅をリフレッシュさせることができたと思う。次はコスタリカでどっぷりと自然の中に身を置くつもりだ。
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