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◆夫婦で世界一周





写日記49.お気軽サファリ

ボツワナ(チョベ国立公園)

2008年7月10日〜7月14日



怒涛のようなオカバンゴ体験を終えマウンに戻ってくると、そのまま車に乗り込み次の目的地のチョベ国立公園に向けて出発した。チョベも野生動物の宝庫で、ときには百頭を超すというゾウの大群で有名な公園だ。


マウンからチョベの最寄りの町カサネまでは700キロ。現在時刻は午後三時。さすがに今日中にたどり着くのは無理だけど、できるだけ距離はかせいでおきたい。ということで、適当なキャンプ場を探しつつ走れるところまで走ることにした。


日の短い冬。すぐに陽は傾き、時間ごと、方角ごとに空に色が変化する。青空が全体的に赤みを増してくる。夕日が当たった雲と地平近くの空だけが赤く輝く。反対側の空は紫色。1ミリの段差もなく、赤から紫にスムーズなグラデーションを描いている。毎日繰り返される夕べの天空ショー。決して飽きることはない。


完全に夜の帳が下りると、無数の星と月、車のヘッドライトだけが僕らの世界に存在する唯一の光となる。闇の中を運転していると視覚がふらついてきて、とても長くは走れない。キャンプ場が見つかる気配はなかったので、路上での車中泊を決め込んで路肩に駐車した。車の中には食材、ワイン、バーナーに鍋と何でも揃ってる。突然の車中泊でも困ることは何もない。


闇の中から聞こえる動物の低い鳴き声はライオンなのかゾウなのか、あるいはただのウシなのか……。腹が満たされると寝袋にくるまってシートを目一杯倒した。車内の広いティーダ君で眠るのは、寒くないだけテントよりも快適だった。


翌日、尿意をもよおして目が覚めた。路肩にあるゴミ箱を黒ちゃんの女の子があさっている。僕らに興味津々の様子だったが、そのうちペットボトルを一つ拾って去っていった。昨晩ゴミの荒らされ具合を見た僕は犯人は動物だと決め込んでいたが、子どもたちの仕業だったようだ。


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こんなところで一泊しました


チョベ国立公園はボツワナ随一の動物公園だが、その拠点となるカサネの町へ続く道路はひどいものだった。道路は穴ぼこだらけで下手に突っ込めば僕らが天井に頭を打つだけでなく、車が壊れてしまいそうだ。平均時速は30キロにガタ落ちした。


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カサネへの道は穴だらけ


公園でも保護区でもなんでもない場所で突然ゾウが道路に現れる。退屈にならなくていいけれど、ゾウの怖さを十分に思い知らされている僕らは純粋には楽しめない。僕らが口にする「あ〜、ゾウや〜」は感嘆というよりもどちらかといえば悲嘆に近い。


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ゾウがちょくちょく現れる


カサネへの道中に見つけたバオバブの木。『星の王子様』にも登場するオバケのような大木だ。アフリカならどこにでも生えているのかと思っていたが、これまでは全く見かけなかった。バオバブを初めて見つけた僕は慌てて車を止めて、ゾウの気配を確認してから車を降りバオバブに抱きついた。


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バオバブにやっと会えた!


カサネに到着するとチョベ国立公園での遊び方を調べた。どうやら公園内は四駆の車でないとゲームドライブができないらしい。ツアーに申し込み、サファリカーから動物観察をするという手もあったが、見られる動物はエトーシャやオカバンゴで見たものと変わらない。僕らは倹約のためサファリツアーはあきらめ、公園を貫く一般道(ここは入園料が必要ない)を往復してみることにした。


すると、出るわ出るわゾウの群れが。遠く前方に道路横断中の群れを見つけるのはまだいいが、今から道を渡らんとする群れに近距離で出くわすとかなりビビる。群れにはリーダー格らしき立派なオスゾウがいて、車が近づくとそいつがにらみを効かせてくる。小さな子どもはいつまでもでも眺めていたいが、リーダーの視線を感じてそそくさと退散。


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道路を横切るゾウの群れ。子ゾウもいます


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森の中には食事中の群れも


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多分左のゾウがリーダー。ずっと僕らをにらんでました


ほかにもバブーンの群れ、小さなサル、イボイノシシ、ミナミジサイチョウという大きな鳥などを見つけた。お金を払わずにこれだけ楽しめたら上出来。満足してキャンプ場に戻った。


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バブーンの家族も愛らしい


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ミナミジサイチョウという大きな鳥。結構インパクトあります


僕らが滞在していたChobe Safari Lodgeという高級リゾートに併設されているキャンプ場(キャンプ場は別に高級ではない)は、一つ一つのサイトが木々で囲まれていてなかなか雰囲気のよい場所だった。


サイトには動物がたくさん顔を出す。リスや小鳥が残飯を狙っていつもちょろちょろしていたし、オオトカゲやバブーン、イボイノシシがやって来るので食料は車の中にしまっておかなければならない。網を隔てたすぐ向こう側がもう公園なので、カバの鳴き声が聞こえたり、ゾウがすぐ目の前を歩いたりしていた。


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キャンプサイトの前に現れたゾウ。ボケててすいません


チョベ国立公園の北側は大河ザンベジ川やチョベ川が流れていて、ボートツアーに参加すれば水場に生息する動物や湿地帯に集まる鳥類を観察することができる。オカバンゴではカバと衝撃的な対面をしたが、命の危険性がない状況でゆっくりとカバを見たかった僕らはこのボートツアーに参加することにした。


ボートにはバーも用意されていて、ビールやカクテルを飲みながらの優雅な動物観察。周りにバズーガ砲のような一眼レフを持っている観光客もたくさんいて、オカバンゴを探検するときのような心細さは全くない。


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カクテルを飲みながら優雅に動物観察


ここで初めてバッファローを見た。気が荒いと聞いていたが、川辺で水を飲む姿にそのような性格を見出すことは難しかった。嫁さん曰く「ベートーベンみたい!」


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水飲み中のバッファローの群れ。穏やかそうです


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確かにベートーベンっぽいか?!


ナイルワニはグロテスク。体色が黄味を帯びていて毒々しい。人や家畜も食い殺すことがあるという凶暴なヤツで、ボートの上から見ててもゾクゾクする。ほかにも名前の覚えられないほど数々の鳥類やバブーン、イボイノシシなどの小物も見た。


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貫禄たっぷりのナイルワニ


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これもナイルワニだけど少し色が違います


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見たことのない鳥もたくさんいました


ゾウが希少価値ゼロのチョベにおいても、川渡りをしているゾウはそうそう見られるものではないだろう。一定のリズムで水から顔を出しながら泳いでいる様はまるで平泳ぎをしているよう。シュノーケル代わりの長い鼻から水を吐くのはゾウならではの芸当だろう。


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ゾウはそこらじゅうにいます


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でも泳いでるゾウは珍しい!


そしてカバの群れ。何十頭という数だ。遠くから目にしたときはメタルスライムの集団かと思った。水に濡れて黒光りした背中がうごめいている。何匹かのスライムは起き上がってカバの姿になり岸辺を歩いていたが、その姿は僕らを襲った血走った目の怪物よりも、穏やかなムーミンを髣髴とさせた。


ボートは何十人もの観光客が乗る大きなものだったが、そのボートですら30メートル以上は距離を縮めなかった。やはりカバは相当危険な動物なのだろう。


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遠くから見るとただの黒い塊ですが、


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近づくと確かにカバの群れでした


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夕暮れになるとぼちぼち動き出すヤツも


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水面から顔を出すカバ


チョベのゾウたちはよっぽど人間に慣れているのか、陸地を走っているサファリカーはゾウに手が届きそうなところまで寄っていた。僕らには考えられない愚かな行為だが、まあここでのサファリはそういうものなのだろう。


最後に僕らを楽しませてくれたのはやっぱりゾウ。子ゾウのいる群れが夕日を浴びながら水飲みをしていた。水飲みを終えると、子ゾウをできるだけ大人で囲みながらみんなで森に帰っていった。


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森から出てきて水を飲んでいたゾウの群れ


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そして、また森に帰っていく


今日もいつもと変わらぬ、いつもどおり美しい夕日が沈んでいく。アフリカでの一番の贅沢は実はサファリでも砂漠観光でもなく、毎日繰り返されるこの天空ショーをビール片手にのんびりと眺めることなのかもしれない。


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アフリカに来てから何度目の夕日だろう



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