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◆夫婦で世界一周





写日記48.野生の王国

ボツワナ(オカバンゴデルタ)

2008年7月8日〜7月10日



エトーシャを出てからは針路を東にとり、ボツワナに入国した。この国もまたダイヤモンドのおかげで国の財政は潤っているけど、車窓からの光景を見ている限り、庶民が豊かに暮らしているわけではなさそうだ。


それでも、教育や医療は無料同然で行われているというから、アフリカではかなり恵まれた国といえるだろう。そういった状況を反映してか、南アフリカやナミビアよりも人々は穏やかで表情が明るいように感じた。アパルトヘイトという負の遺産がないことも大きいのかもしれない。ただエイズ感染率が非常に高く、その影響で平均寿命が三十九歳にすぎないという暗い現実も人々に重くのしかかっている。


『ロンリー・プラネット』(英語のガイドブック)の治安の項に目を通すと、「ボツワナはほかのアフリカ諸国、そして欧米諸国と比べても犯罪率は低い。一番注意すべきは自然をナメてかかること」とある。少しは緊張感をほぐして旅ができそうな国だ。


ボツワナ最大の見所といえばオカバンゴデルタ。アンゴラに源を持つオカバンゴ川がナミビアを経てボツワナに入ると扇状に広がり、やがて海に注ぐことなくカラハリ砂漠に消えていく。その過程で形成された内陸デルタがオカバンゴデルタというわけだ。


デルタ内には「カラハリの宝石」と称えられる湿地帯の美しい風景が広がっていて、そこには多くの野生動物が生息している。セスナで空からの景色を眺めたり、モコロと呼ばれる小舟に乗って湿地帯を探索したり、あるいは陸に上がってウォーキングサファリをしたりと様々な楽しみ方が可能だ。ただし、何をするにしても100ドル単位で金は消えていく。


僕らはGunn's Campで、これら全てのアクティビティとブッシュキャンプ(デルタ内のブッシュにテントを張る)一泊分を盛り込んだ計二泊三日のプランに申し込んだ。二人で1,410ドルという目玉が飛び出るほどの料金だが、オカバンゴデルタを満喫したくてボツワナくんだりまでやって来た僕は必要経費と考えていた。嫁さんもそれは分かってくれていたので、一分のためらいを含みながらも大金を支払った。


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いざセスナに乗り込みオカバンゴデルタへ!


まず、オカバンゴ観光の拠点となるマウンという町からセスナに乗り、デルタ内の宿泊施設に向かう。セスナの乗客は二人だけだったので、僕は喜び勇んで岩手にガールフレンドがいるというニュージーランド出身のパイロットの隣に座った。


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眼下の景色に目が釘付け


しばらくすると大地を二分する直線が視界に入ってきた。これはバッファローフェンスと呼ばれ、家畜に野生動物の病気が伝染することを防ぐため設けられたフェンス。フェンスのせいで移動できなかった動物が死ぬこともあるが、逆に野生動物が家畜によって駆逐されることも防いでいるという。


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どこまでも続いているバッファローフェンス


パイロットの彼が「ほら、あそこにゾウがいるよ」と下界の一点を指す。あっ、ほんとだ!二匹のゾウが眼下に見える。さすがにゾウは上空からでも十分ゾウと分かる。「あっちはシマウマだよ」と次に彼が指差した方向を見ると、確かにいくつかの粒々が。ゾウに比べるとかなり小さい。真上を通過するときにかろうじて白と黒の縞模様を認めることができたが、なかなかシマウマとは分からなかった。


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あっ、ゾウだ!


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シマウマはゾウに比べるとだいぶ小さい


セスナが進むに連れてデルタの水量はみるみる増えてきて、もともと川だと思われる筋から水があふれ出して湿地帯を形成している様子が手に取るように分かった。川の原形が分からないほど水が満ちている場所は、水の青と土の茶色と森の緑がモザイクを成していて「カラハリの宝石」という例えが納得できる絶景。そしてここに数多くの野生動物が暮らしていると思うとゾクゾクしてきた。


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湿地帯らしい景色になってきました


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これぞ「カラハリの宝石」と称えられるオカバンゴデルタ


セスナが高度を下げ始めると、見えてきたのはダートの滑走路。スリップしないのかと不安だったが無事着陸。Gunn's Campのスタッフの歓迎を一通り受けると、次はモコロに乗り込み宿泊施設のあるベースキャンプに移動。今日はブッシュキャンプをするのでベースキャンプには泊まらないが、昼食と準備のために立ち寄るのだ。


モコロのポーラー(漕ぎ手)とブッシュキャンプのガイドをしてくれるのがジャクソン。一見猫背で頼りなさそうに見えるが、彼がオカバンゴデルタに関する知識の宝庫であり、頼れるベテランガイドであることはあとで知ることになる。


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次はモコロだ!ポーラーとガイドを勤めてくれるジャクソンと


ベースキャンプは思った以上に立派なものだった。ここでのんびりするのも悪くなさそうだが、やっぱりワイルドな自然の中でのキャンプのほうが僕にとっては魅力的。昼食とシャワーを済ませると、早速ブッシュキャンプに出発した。


ギアナ高地パタゴニアガラパゴスと盛り上がりどころが多かった南米の旅を終えてからは、オカバンゴデルタでのブッシュキャンプを一番楽しみにしていた。それを目の前にして胸の鼓動は高まるばかり。どんな光景が僕たちを待ち受けているのだろうか。


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ジャクソンとともにブッシュキャンプに出発!


ベースキャンプを出発してすぐ、ヤシの木の下で食事をしているゾウの家族を発見。ジャクソンは僕らを喜ばせるため、モコロをできるだけゾウに近づけてくれたが、ゾウの怖さをエトーシャで学んだ僕らは心拍数が上がってしまった。


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モコロからゾウを見る。襲ってこないのかちょっと不安です


茶色い草の群生はパピルスが枯れたものだろうか。そういう場所は水深も浅く、モコロはジャクソンの一押し一押し(モコロは水を掻くのではなく、水底を押すことによって動かす)でやっと動く感じ。顔にバチバチと草が当たって、小さな羽虫がたくさん顔や服につく。快適な移動とは言いがたい。


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こういう場所は楽しいとは言えない


少し水が深くなると、ジャクソンの動きに合わせてモコロは水の上を滑り始める。緑色のパピルスや白い蓮の花が横を通り過ぎていく。安定感に欠け、一歩間違えれば転覆しそうだが、その心細さがまたなんともいい。


ジャクソンは喉が渇くと、コップに汲んだ水をそのまま飲む。「きれいだし、おいしいよ」と勧められ、僕も試してみた。オカバンゴの水は少し苦味があった。


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水面を滑るように進むモコロ


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蓮の花がいいアクセントになってます


エトーシャにいなくてオカバンゴに生息している動物といえばカバ。カバがこの辺で見られるかどうかジャクソンに尋ねてみると、昼間はあまり動かず、もっと深いところにいるので見るのは難しいとのこと。そうか、残念……。


そんなやり取りをした直後、モコロが右に大きく傾いた。岩にでもぶつかったのか、と一瞬考えたのは覚えている。そのままモコロは転覆し、我に戻ったときには水の中。僕も嫁さんも胸のあたりまで水に浸かって立っていた。一体何が起きた?!


次の瞬間、僕らの目の前に浮いているモコロに大きな衝撃が。ガン!ガン!ガン!見るとカバが大きく口を開いてモコロに噛み付いている。へ?カバ?一瞬目を疑った。でも間違いない。モコロを挟んですぐそこに目の血走ったカバの顔がある。


ガン!ガン!ガン!またモコロが揺れる。嫁さんが「どうしよう」と弱気な声で言う。僕はモコロをカバのほうに押し返して、これ以上こっちに来ないように願った。もう一回ぐらいアタックがあったかなかったか。静かになったと思ったら、カバは僕らに尻を向けて深みのほうへ去っていった。慌ててその姿を写真に撮ろうと思ったけど、ずぶ濡れのカメラは動かなかった。カバはパピルスの茂る水の中に潜って見えなくなった。


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カバに破壊されたジャクソンのモコロ(後日撮影)


恐怖は事が落ち着いてから襲ってくるものらしい。さっきのカバが戻ってこないだろうか?ほかのカバは潜んでないだろうか?ここにワニはいないだろうか?そういう疑問が脳裏をよぎり、立ちすくんでしまう。体が動かない。どうしたらいい?そうだ、ジャクソンはどこ?見当たらない。二人で呼んでみる。「ジャクソーン!ジャクソーン!!」


少し離れたところに彼の姿を見つけた。ひとまずほっとした。ジャクソンはカバが噛み付いた箇所に立っていたために、衝撃の際に大きく飛ばされたらしい。彼も放心状態だった。目を見開き、口をすぼめて、「信じられない!」という表情をしていた。


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こんな感じのところで襲われた(後日撮影)


落ち着きを取り戻したジャクソンの指示に従って、モコロや大きな荷物はそこに置いたまま陸地にあがる。トランシーバーが水でダメになったから連絡も取れない。濡れそぼった体に鳥肌が立ってきた。「ほら、これがゾウの糞だ」、「こっちがライオンの足跡だ」と丁寧にガイドをしてくれるジャクソン。ありがとう。でも今はええわ!!


幸いゾウにもライオンも出くわすことなく、ベースキャンプが見えるところまで戻ってきた。そこからジャクソンが大声でほかのスタッフと連絡を取り合う。すぐにモーターボートで迎えが来た。


スタッフがこまごまと気を遣ってくれる。温かい飲み物やバスタオルを用意し、部屋までグレードアップしてくれた。ただうがった見方をすれば、責任追及を免れるために必死だったと言えるかもしれない。やたらと"accident"という単語を使うあたり、「これは人為的ミスじゃなくて誰にも非のない事故だからね」という含みを感じさせるものがあった。


もちろん誰も責める気はない。ガイド歴二十年以上のジャクソンも今までこんな目に遭ったことはないというのだから、本当に確率の低い事故にすぎないのだろう。カバは普通もっと水深の深いところにいて、あんなところにはいない。ただ、群れから追い出されたオスのカバが浅瀬に潜んでいることがごくまれにあるということだった。


改めて思う。不幸中の幸いだと。僕らは生きている。カバは自分のテリトリーに入ってきたものを容赦なく襲う。食べはしないのにとりあえず噛み殺す。アフリカでは動物に襲われる事故も少なくないが、死者が一番多いのはカバによるものだと聞いたことがある。その統計に僕らが加わることにならなくて本当によかった。


でも、びしょ濡れになった所持品のことを思うと惨めな気分になってくる。一番ショックなのはカメラがダメになったことだ。ボツワナ、いやアフリカのハイライトだったオカバンゴで写真が撮れないとは悲しすぎる。


その夕方はほかのスタッフとともに、モーターボートで動物観察に出かけた。大きいボートなので安心感はあるが、このボートでもカバに不用意に近づくことは危険とのこと。スタッフたちの気遣いでビールを好きなだけ飲みながらの動物観察。でっかいワニを一匹見つけたが、ほかに目新しいものはいなかった。


途中、集落に立ち寄った。デルタ内に人が住んでいるとは思いもしなかった。小さな子どもたちが恥ずかしそうに僕らと握手をしてくれるが、大人たちにはどこか退廃的な雰囲気がある。無邪気にじゃれてくるイヌたちが、この村で一番親しみやすい存在だった。輪郭の妙にはっきりとした、霞んだ地平に落ちていく夕日が長い一日の終わりを告げていた。


ベースキャンプでの夕食は豪華だった。その上、ここでもスタッフの気遣いでワインまで振舞ってもらい、酔いにまかせて気分も紛れてきた。ただ、ときどき湿地から聞こえるカバの鳴き声がまざまざとあの恐怖をよみがえらせた。


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ベースキャンプに棲みついているイボイノシシ(後日撮影)


翌朝、ウォーキングサファリに出かけた。ジャクソンはモコロから転落するときに打った右腕がまだ少し痛むようだったが元気そうで安心した。彼もびしょ濡れになって使えなくなった双眼鏡や動物図鑑を惜しんでいた。


ウォーキングサファリを始めるに当たってジャクソンがいくつかリアルな注意事項を言った。「ライオンを見つけても逃げないこと」、「ゾウが襲ってきたら森の中をジグザグに走り回ること」、「バッファローが突進してきたら木に登ること」、などなど。


カメラを失った僕をあざ笑うかのように、たくさんの動物が姿を見せた。アフリカゾウ、キリン、シマウマ、インパラ、クドゥ、バブーン、数々の鳥類……。


ウォーキングサファリだと車のようにエンジン音を立てるわけではないし、身一つなので簡単に近づけそうなものだが、動物たちはすぐに気配を察知してさっと逃げていく。今思えば、エトーシャの動物たちはずいぶんと人慣れ、車慣れしていたのだろう。しかしここでもゾウだけは人間を見て逃げていくというような健気さを持ち合わせていなかった。


動物の足跡や糞もジャクソンの説明を聞きながら観察すると楽しい。大きなオスのゾウの足跡となると洋式便器ほどの大きさがある。キリンはオスとメスで糞の形が違う。オスのインパラは縄張り誇示のため同じ場所に固めて糞をする。その他いろいろ……。中身の濃いウォーキングサファリだっただけに、カメラがないのが本当に悔やまれた。


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野生の王国をウォーキングサファリ(後日撮影)


その午後、僕はブッシュキャンプに再トライする気満々。嫁さんは「えっ、行くの?」と驚いたが、僕が完全燃焼できるまでとことん付き合ってもらうことにした。スタッフは僕がそんなことを言い出すとは露にも思わなかったらしく、難しそうな顔をしていたが、「ブッシュキャンプをやりたくてここまで来たんだ」と強く言うと手筈を整えてくれた。


こうして、ジャクソンとともに再び僕らはブッシュキャンプに出発した。彼のモコロはもう使い物にはならなかったので、別のモコロでキャンプ地に向かう。途中、昨日カバに襲われたような雰囲気の場所になるとさすがにちょっと怖かった。


ジャクソンがモコロを寄せたのは、ヤシの木とジャックベリーという木に囲まれたわずかな平地。どちらの木もゾウの大好きな実をつけるので、ちょっと弱気になっている嫁さんが「ゾウは来ない?」とジャクソンに尋ねた。返ってきた答えは「来るけど大丈夫だ」


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湿地のほうから見るキャンプ地(後日撮影)


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ゾウが好きなヤシの実とジャックベリー。ジャックベリーはジャクソンも大好き(後日撮影)


モコロから荷物を降ろしテントを設営すると、ジャクソンが熾した火の前に腰を下ろした。この日は夕方のウォーキングサファリにも出かけず、僕は一眼レフを、嫁さんはデジカメを、ジャクソンは腕時計をひたすら火にあてて乾かしていた。が、どれも動き出す気配はなし。


キャンプ地の前の湿地では、茶色い草が風になびいていた。それが夕日に照らされて、黄金色にキラキラと輝く。対岸にはインパラの群れがいた。


ジャクソンが焼いた肉と嫁さんが作ったパスタで豪勢な夕食。酒もタバコもやらないジャクソンだが食欲だけは旺盛だった。夜が深まるにつれてジャクソンは酔っ払いのように饒舌になった。酒を飲んでいる僕らのほうが聞き役だったが、考えさせられる話もあった。


観光客を引き寄せるのにゾウは欠かせない。だから、どんな場合でも殺してはならない。政府からのお達しだ。ジャクソンのような公認ガイドでも銃を持つことは許されず、ロケット花火のような威嚇弾を持ち歩いているだけだ。「北海道で民家を襲ったヒグマを射殺」というニュースに人間のエゴを感じたことがある。しかし、このときは動物よりも人間の命が軽視されている現実(極端に捉えすぎかもしれないが……)に歯痒さを覚えた。


動物たちがおとなしい夜で、近くに獣の気配を感じることは一度もなかった。カナカナと聞こえるカエルの鳴き声が心地いい。ジャクソンが焚き火の前で舟を漕ぎ始めたのを見て、僕らは寝ることにした。


翌朝、クッキーやハムを朝食代わりにつまんでいた。嫁さんはスコップを手にして離れた場所に用を足しに行った。別にどこに視線を定めているつもりでもなかった僕の目がゾウを捉えた。キャンプ地の奥、30メートル先の木の後ろにいた。ジャクソンは例の頼りにならなそうな威嚇弾をテントから取り出した。


用を済ませた嫁さんもゾウに気付いてその場に立ちすくんでいたが、ジャクソンに呼ばれて恐る恐る戻ってきた。ジャクソンは僕たちの前に立ってゾウと向き合っていた。自分とゾウの間にジャクソンがいるという安心感は絶大だった。


ゾウはジャクソンとにらみ合ったままだ。一分も経っていなかったと思うが、長い時間だった。ようやくゾウがジャクソンから視線を外して横を向き、動き始めた。僕は手に持っていたカメラをゾウに向け、シャッターを押してみた。すると、全く予想外なことにシャッター音が響き、取った画像がスクリーンに映った。やった!


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復活したカメラで慌てて撮影。ボケてます


ファインダーが曇っててピントを合わすのが至難の業だが、何かが撮れるだけずっとマシだ。僕は嬉々としてシャッターを押しまくっていたが、ジャクソンはまだ警戒態勢を緩めていなかった。嫁さんがジャクソンに聞いた。「ゾウ、怒ってるの?」「うん」……えっ、マジで?!ゾウがこちらを振り返ることなく、キャンプ地をぐるりと迂回するように去っていくのを見てやっとジャクソンの口から「大丈夫」という言葉が出た。


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ゾウが去って一安心。嫁さんはまだ不安そうな表情をしています


カメラを首に下げ、張り切って朝のウォーキングサファリに出かけた。出発するときに「昨日の夜中、ライオンの鳴き声が聞こえた。だからこの辺の動物はみんな逃げてしまったかもしれない」とジャクソンが言った。果たしてその通り、成果の少ない朝だった。姿を見せたのはゾウとキリン、インパラのみ。せっかくカメラが復活したというのに……。


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この力強い足跡はライオン


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インパラの角を発見


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ゾウの糞。そこらじゅうに転がってます


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ボケボケですが真ん中にキリンが四匹います


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ゾウによって倒された木は数知れない


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巨大なアリ塚があちこちにあります


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よく歩いたので疲れちゃった


帰りは何事もなくベースキャンプまで戻ることができた(これが当たり前なんだが……)。三日間濃い時間を一緒に過ごしたジャクソンとはここでお別れだ。毎日動物相手に体を張る仕事も大変だと思う。でも「僕はガイドという仕事が大好きなんだ」と語っていた彼の表情は忘れられない。どうか、これからも気をつけて。


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帰りは何事もなく楽しいモコロの旅


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最後にジャクソンと。ピントがずれてますが……


帰りのセスナからはゾウとキリンが見えた。その小さな姿がやけにいとおしく思えたのは、襲われる危険がないという余裕からに違いない。あんなに大きな体を持ったゾウもキリンも大自然の中では所詮小動物にすぎない。生きて子孫を残すという本能に従って、がむしゃらに生きている。


憧れを抱いてやって来たオカバンゴデルタ。本当の自然は楽しいだけじゃなく危険なものであるという常識を命懸けで裏打ちした日々だった。二日前、セスナに乗ってこっちに向かっていた自分たちが妙に懐かしく、幼く感じる僕がいた。



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