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写日記23.世界最南端の町チリ(プンタ・アレナス)、アルゼンチン(ウシュアイア) 2008年1月15日~1月22日 エル・カラファテからリオ・ガジェゴス経由で国境を越え、チリのプンタ・アレナスに到着した。南米大陸最南端の町である。背の低い家が立ち並ぶ様子は、まるで町全体で強い寒風に耐えているかのよう。それなりの都会だが地味な印象は拭えない。 久しぶりに日本人宿でないホステルに泊まると、周りは外国人だらけ。当然ながらコミュニケーションは英語かスペイン語。そして日本語で話す相手は嫁さんだけ。久しぶり「二人旅」を実感する環境になんだか気分も新鮮だった。
プンタ・アレナスにやって来たのはペンギンを見るため。近くのオトウェイ湾にマゼランペンギンの営巣地があり、この時期は巣を作って子育てするペンギンが見られるという。 一時間ほどバスで揺られると、営巣地の入り口に到着。海岸が近くに見えるが、ペンギンがいる気配は全くない。営巣地内には一周三十分程度のトレイルが敷かれ、そこを歩きながらペンギンを観察するというシステムらしい。トレイルの奥にはペンギンがわんさかいることを期待しながら歩き出す。
パタゴニアに来て少しは強風に慣れたかと思ったが、海から吹く風は強さも冷たさも一段と厳しい。凍えながら十分ほど歩いたところで、ようやく一羽のペンギンを発見。さらに歩き続けるとトレイルが海岸の方向に折れる。すると見えてきた、見えてきた。数十羽のマゼランペンギンが海岸線に並んでいる姿が!
視線をもう少し手前に移すと、日光浴だろうか、腹ばいになって砂浜に寝転ぶペンギンたちが見えた。ひょっこりと立ち上がり、巣のほうに歩いていくペンギンもいる。ただ歩いているだけの姿がなんとも愛くるしい。
僕らが一番気に入ったのはトレイルのすぐそばにいた三羽のペンギン。多分、一羽が親で、産毛がまだ抜けきってない残り二羽が子どもだろう。 鳥としての本能がそうさせるのか子どもペンギンは一生懸命羽をばたつかせる。飛べないと分かっていても応援したくなる姿だ。また、まるで寒風に立ち向かうように三匹でスクラムを組んでみたりと、見ていて飽きることがない。 しかし、厳しい寒さとバスの時間という現実的な制約の下、いつまでもそこにいることもできず名残惜しく子どもペンギンたちにバイバイした。
プンタ・アレナスで唯一かつ最大の目的だったペンギン観察を終えると、翌日に僕らはウシュアイア行きのバスに乗った。 プンタ・アレナスは「南米大陸」最南端だが、実はマゼラン海峡の向こうにはフエゴ島という島がありそこに「世界」最南端の町、ウシュアイアがある。しかし、これも微妙で世界最南端の「村」なら別にあったりするらしい。 ま、とにかく「世界最南端の町」と自他ともに認められているウシュアイアへは途中でマゼラン海峡を越えなければならない。何もない平原をひたすら飛ばしていたバスが海にぶつかると、客を乗せたままバスはフェリーに乗り込んだ。このフェリーでカラファテで別れたカナとチカちゃんにばったり再会。彼女たちのバスもウシュアイア行き。
フエゴ島に渡ってしばらく走るとパタゴニアに来て三度目の国境越え。パタゴニアを周遊するにはチリとアルゼンチンを行ったり来たりせざるをえないのだ。アルゼンチンのリオ・グランデという町を過ぎると、これまでひたすら広がっていた平原が姿を消し、雪を冠った山の間に湖や川が見えるようになる。カナディアンロッキーを髣髴とさせる風景。
ウシュアイアには夕方到着。そして、日本人宿『上野山荘』にチェックイン。ここは現在八十五歳の綾子おばあちゃんが営む宿で、その居心地のよさから南米にいくつかある日本人宿の中でもかなりの人気を博する宿である。
チェックインすると、汐見荘以来となる相沢夫妻や清水さんと再会。そして少し遅れてカナとチカちゃんも到着。 汐見荘での大晦日に二人でこっそり年越しソバを食すという軽犯罪を犯した相沢夫妻は、その償いとして手打ちうどんを打って僕らの到着を待っててくれた。世界最南端の町で食べるうどんとはオツだ。ザワさん、ケイコさん、ありがとう。
ウシュアイアへやって来る旅行者には、ウシュアイア発の南極クルーズ目的の人も少なくない。もちろん僕らも行けるものなら行きたかったのだが、日程と費用(一人数十万!)を考えてあきらめた。 そんな僕らがウシュアイアでした観光らしき観光といえば通称「斜めの木」を見に行ったぐらい。レンタカーで向かったその場所には、パタゴニアの強い風によって斜めに成長した木が立っていた。パタゴニアのどこでも見られるわけではないので、風の通り道や木々の密集具合などいろんな条件が重なってこうなったと思われる。なかなかの奇景。
ここでなんらかの趣向を凝らして記念撮影することが上野山荘宿泊者の間で一種の恒例行事になっている。僕らもいろいろとやってみた。出来栄えはいかほど?!
あとウシュアイアでやったことといえば、町をそぞろ歩きし、買出しに行って自炊をし、ネットカフェに入り浸り、たまには本でも読んで、暇を持て余したら誰かと雑談し、酒を飲みながらトランプで遊んだぐらい。 緯度の高いウシュアイアでは夏のこの時期、夜11時ごろにならないと暗くならないから、自然と遅寝遅起きの生活に。怠惰と思われるかもしれないこんな日々も、世界最南端の町でやるとそれはそれで味がある。……と思うのは僕だけだろうか。
上野山荘の居心地は評判どおり最高だった。綾子おばあちゃんは地元が僕らと同じ学区の大阪人。普段は標準語のおばあちゃんも、僕らと話すときには自然と大阪弁になるのでなんだか嬉しい。愛犬トルーチャは噂どおり甘えん坊の可愛いヤツ。また、上野山荘名物の五右衛門風呂も入ると思わず「ふぅ~」と唸ってしまう気持ちよさ。
最後は「またおいで」と見送ってくれた綾子おばあちゃん。そう簡単に実現できそうにはないが、その気持ちをありがたく受け止めつつ世界最南端の町をあとにした。
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