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写日記29.役者ぞろいのガラパゴスエクアドル(ガラパゴス諸島) 2008年2月27日~3月8日 スペイン語でゾウガメを意味するガラパゴ。それが複数形になってガラパゴス。その名の通り、ガラパゴス諸島を最も有名にしているのは島ごとに独自の進化を遂げたゾウガメであるが、そのほかにもこの群島にしか存在しない固有種が多くいる。これらの動物からヒントを得て、ダーウィンは進化論を唱え、『種の起源』を著した。 当初は、ガラパゴスが世界自然遺産という魅力的な肩書きを持っているにもかかわらず、あまり行きたいとは思わなかった。その一つ目の理由が、クルーズツアーでしか観光ができないという条件。料金的に高額になってしまうし、船に弱い嫁さんが苦しむのが目に見えていたから。二番目に一旅行者としてそこに行って楽しめるのかという疑問。アカデミックな目的を持ち合わせているわけではないし、ゾウガメとかイグアナなど僕にとっては地味な印象しかない動物を見ることに興味がなかったのである。 しかし、イースター島でのケイ君と清水さんとの出会いが僕らをガラパゴスに向かわせることになった。彼らの話から、クルーズに参加しなくても個人で回れる島があり、そこだけでも十分に楽しめることを知った。そうすることによって出費も削減できるし、船酔いの心配も減る。そして何よりもガラパゴスでの様々な動物の出会いに感動したという二人の話に惹き込まれてしまったのだ。 それでもルートを変更してまでガラパゴスを訪れることに消極的だった僕に対し、多大な興味を示し積極的だったのは嫁さんのほう。いい機会なので、嫁さんを「ガラパゴス隊長」に任命し、ガラパゴス滞在中のスケジューリングは嫁さんに取り仕切ってもらうことにした。さてさて、どうなることやら。
大小十九の島から成るガラパゴス諸島のうち、個人で回ることのできる島はサン・クリストバル島、サンタ・クルス島、イサベラ島の三島に限られる。 僕らが最初に降り立ったのはサン・クリストバル島だ。この島にはガラパゴス州の州庁所在地であるプエルト・バケリソ・モレノがあるが、町の規模も観光拠点としての地位もサンタ・クルス島のプエルト・アヨラには及ばない。 この島の見所は町なかのビーチにいるアシカの大群。アシカがいるとは聞いていたが、これほどまでとは!島に滞在中、何度もこのアシカビーチに足を運んではアシカを眺めていた。また、別のビーチに出かけたときには、嫁さんがアシカとの遊泳に成功し大はしゃぎ。アシカまみれの二日間を過ごしたあと、ボートでサンタ・クルス島に移動した。
サンタ・クルス島のプエルト・アヨラはガラパゴス最大の町だけあって飲食店や土産物屋、インターネットカフェやダイビングショップなどが充実していた。 プエルト・アヨラにあるチャールズ・ダーウィン研究所で初めてゾウガメと対面。しかしそれよりもよかったのが、翌日訪ねたエル・チャトゾウガメ保護区。そこには自然の中で暮らすゾウガメたちが!最寄りの町までヒッチハイクをし、さらに一時間以上歩いてようやく出会えただけに、喜びもひとしおだった。 サンタ・クルス島滞在中の一番のビッグイベントがゴードンロックというポイントでのダイビング。一人120ドルという出費にはひるんだが(ガラパゴスに来るだけでも飛行機代350ドル、入島料100ドルと懐が痛いのに!)、「ここまで来たんやから!」を言い訳にしてトライ。結果、大物三昧の素晴らしいダイビングを経験し大満足。思い切ってよかった! 白砂のビーチが広がるトルトゥーガベイでは、サメがたくさん見られると聞いていた。しかし、発見したのは波打ち際を泳ぐ小さなサメ一匹だけ。近くのマングローブ林でもシュノーケリングしながらサメを探したが見つけられず。それよりも蚊の群がり方が半端じゃなく、のんびりと海水浴を楽しむこともままならなかった。 そんなこんなしながらサンタ・クルス島で四泊したあと、最後となるイサベラ島へ。
イサベラ島はガラパゴス諸島最大の島だが、町はビジャミル港の近くに村程度のものがあるだけ。町も人も一番素朴な感じのする島だ。San Vicenteという宿の庭で、雨や蚊に悩まされながらも経費節減のため四泊のテント生活を送った。 イサベラ島ではコンチャ・デ・ペルラという天然プールでのシュノーケルが最高!人懐っこいアシカがやって来て一緒に遊んでくれる。さらに、颯爽と水中を泳ぐガラパゴスペンギンの姿もときどき見られた。 ゾウガメセンターでは人工飼育中の子ガメやイサベラ島固有のゾウガメを見学。また、港のすぐの近くに浮かぶラス・ティントレラスという名前の島々でのシュノーケリングでは、ホワイトチップシャークやウミガメが近くを泳いでいった。 そして、イサベラ島、いやガラパゴスでの最後の感動が、直立しているアオアシカツオドリとの間近での対面。ガラパゴス滞在中、ずっと見たいと思いながらもなかなか見れなかったのだが、ボートの船頭にお願いして最後の最後にやっと見ることができたアオアシカツオドリ。これには嫁さんよりも僕が大喜びだった。
最終日の早朝にイサベラ島からサンタ・クルス島にボートで戻り、さらにバスとボートを乗り継いで空港のあるバルトラ島へ。そこからキトへ飛び、十一日間に及ぶガラパゴス滞在は終わった。 とまあ、手短にまとめると以上が僕らのガラパゴス日誌となるわけだが、ここからは僕たちを興奮させてくれた動物たちを順に紹介していこうと思う。 ガラパゴスアシカ 最初に訪れたサン・クリストバル島で海岸沿いを散歩して初めて見つけたときには「えっ?」と思った。あまりにも人間の生活範囲と近いところにアシカがうじゃうじゃいたのだ。ボートの上で休んでいるアシカ、地元の子どもたちに紛れて泳いでいるアシカ、ベンチで横になって寝ているアシカ。動物保護とかそんな言葉が偽善的で空虚に聞こえるぐらい、ここでは人間とアシカが当たり前のように近い場所で一緒に暮らしていた。 濡れているとつるっとしているように見えるが、乾くと体毛が本来の茶色になり、まるで子どもアシカは子犬のよう。陸上で近づきすぎると不器用に走ってきて威嚇してくるが、シュノーケリングやダイビング中には一緒に泳いで遊んでくれる無邪気なヤツら。 その後、サンタ・クルス島でもイサベラ島でもアシカはよく見た。ガラパゴス滞在中、一番よく見た動物と言っても過言ではないだろう。でも一挙一動が愛くるしく、最後までアシカに飽きることはなかった。
ガラパゴスゾウガメ ガラパゴスといえばゾウガメ。島ごとに独自の進化を遂げた亜種がいるが、人間による乱獲やイヌやウシなど移入種の影響で絶滅してしまったものもいる。現在はゾウガメの保護や人工飼育が実を結びつつあり、頭数は増えているらしい。 僕らが初めてゾウガメを目にしたのは、サンタ・クルス島にあるチャールズ・ダーウィン研究所にて。確かにそのでかさと存在感には圧倒されたが、柵の中で人工的に飼われている動物の性(さが)なのか、変に人馴れしており、生気に乏しい感じがした。 しかし、同じくサンタ・クルス島にあるエル・チャトゾウガメ保護区で見たゾウガメは全然違った。枝をバキバキ折りながら闊歩している姿、調子に乗って近づきすぎると怒ったように「フー」と鼻息(?)を荒げて首をすぼめる仕草、いびきのような声を漏らしながら交尾に励むオスの精力。森の中で悠々と生きているゾウガメたちは実に快活だった。
アオアシカツオドリ 空中から垂直に水中ダイビングをして魚を捕らえる様子は雄々しいが、水色の足と真ん丸の目がとってもキュートなアオアシカツオドリ。僕らは略して「アオカツ」と呼んでいた。 サンタ・クルス島のプエルト・アヨラで何度か狩りをする姿だけは見たが、飛んでいるときには足をたたんでいるのでトレードマークの水色の足は見られない。その後もなかなか青い足を目にすることができず、アオカツへの想いは募るばかり。最後に訪れたイサベラ島でボートの船頭に「アオアシカツオドリを見たい!」と懇願し、連れて行ってもらったのがアオカツの集まる岩場。 ペンキを塗ったような水色の足は自然界に存在するのが不自然に思えるほど。ガラパゴスでは動物との対面で幾度となく興奮を味わったが、僕はアオカツのときが一番興奮した。次に機会があれば、ユーモラスで可愛いと評判のオスの求愛ダンスを見たいものだ。
ウミイグアナ 海を泳ぎ、海草を食べるウミイグアナがいるのは世界中でもここガラパゴスだけ。どこの海岸でも見られたが、イサベラ島の繁殖地で見た折り重なるほどのウミイグアナは見応えアリ。ちょうど繁殖期だったため、小さな子どもイグアナも多く見られた。 よく見るとやはり恐竜の子孫を感じさせるが、鼻から塩水を噴き出すために塩で白くなった頭はどこか愛嬌がある。尻尾を左右に動かして泳ぐ姿は、ガラパゴスに流れているのんびりした空気を象徴するかのようだった。
ガラパゴスペンギン 赤道直下にありながら、付近に強い寒流が流れるガラパゴスではペンギンが見られる。世界で二番目だか、三番目だかに小さいペンギンでその数はあまり多くないが、幸いにも僕らはイサベラ島で何度か見ることができた。 陸上にいるときには、その可愛らしい容姿と仕草で僕らを喜ばせてくれるが、一旦海の中に入ると同じ生き物とは思えない素早さを発揮する。水中では鳥というよりもまるで魚のようだが、ずんぐり体形のシルエットはなんとも可愛いかった。
ハンマーヘッドシャーク ガラパゴスの豊かな海は多くの大型海洋生物を育むことでも知られている。中でも有名なのがハンマーヘッドシャーク。ゴードンロックというダイビングポイントでは、ホワイトチップシャークやウミガメも姿を見せてくれたが、目玉がT字についているハンマーヘッドシャークが圧倒的な存在感を誇っていた。 シルエットだけで一目瞭然のハンマーヘッドシャーク。めったに人を襲うことはないらしいけど、言い方を換えればまれには人を襲うこともあるということ?なので、嬉しいながらも恐怖感も否めない水中での遭遇だった。
以上がガラパゴスで僕たちを大いに喜ばせてくれた名役者たちだが、脇役(失礼!)にも面白いヤツがたくさんいた。 見逃せないのがプエルト・アヨラにある魚さばき場のペリカンたち。魚をさばいて出てきた内臓や皮をさばき屋のおじさんがその辺にポンポン放り投げる。すると何が起こるか?それを待ち構えていたペリカンたちが、投げられたおこぼれを求めて一斉にギャーギャーと奪い合うのだ。 中にはほかのペリカンの口にくちばしを突っ込んで横取りしようとするがめついヤツも。また、あるときには海から上がってきた一頭のアシカがちゃっかりおじさんの真横を陣取り、ペリカンを差し置いてひいきにしてもらっている姿も見られた。
そして、何度も言うようだがダイビングは本当にすごかった。迫力で言えばこれまでのダイビングでぶっちぎりのナンバーワン。とにかくいろんな大物が潜んでいる海だった。ハンマーヘッドシャークを始め、ホワイトチップシャーク、ウミガメ、マンタ、そしてアシカ……。
最後はランダムに。
ガラパゴスのメインディッシュはなんといっても動物ウォッチングだったが、南米大陸をある緊張感を保ちながらずっと旅してきた僕らには、のんびりとした島の雰囲気もありがたいものだった。加えて、ガラパゴスでは嫁さんにただついていく立場に甘んじていたので随分楽をさせてもらった。ガラパゴス隊長を務めてくれた嫁さん、お疲れ様でした。
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