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写日記34.日変わりの景色アメリカ(ニューヨーク)、フィンランド(ヘルシンキ) 2008年4月14日~4月15日 セコいのを承知で言うとアメリカン航空のマイルをガンガン貯めたかった。だからマイルが100%貯まる航空会社にこだわったら、南米からヨーロッパへの移動時にニューヨーク経由にせざるを得なかった。 キザなのを承知で言うと嫁さんにオーロラを見せてやりたかった。だから冬のラップランドでオーロラを見上げるつもりで、世界一周航空券のルートにヘルシンキを組み入れた。 世界一周航空券の購入時には特に気にしてなかったがニューヨークでは十二時間の乗り継ぎ待ち時間があった。また、南米に長居しているうちにオーロラシーズンは終わってしまったので(いずれにせよ予算的にあきらめるつもりだったが)、ヘルシンキをただの経由地に降格させた。するとヘルシンキでも十二時間近い待ち時間ができてしまった。 こんな経緯があって、サンパウロを発った翌日にはマンハッタンのビルの谷間を、その翌日にはムーミンの国で寒空の下を歩くことになった。 で、ニューヨーク。飛行機を降りてから、長い待ち時間に気付き「マンハッタン行っちゃう?」って軽いノリで空港を出た。JFK国際空港から近くの地下鉄の駅までは高架の空港電車が走っている。結構な距離を走るのにこれが無料とはさすがUSA。 町を眺めるのに高架鉄道は都合がいい。朝の光を受けて多少美化されているが、普通の幸せと普通の不幸せがいっぱい転がってそうな平凡な住宅街。『American Beauty』の舞台のようなこんな町並みが、ニューヨークの大部分なのだろうか。 地下鉄との乗り換え駅に到着。ここで空港電車の運賃を徴収される。さっきはUSAを買いかぶって損をした。でも、地下鉄の券売機が八ヶ国語にも対応していて、日本語もその中に入っていたことに少しはしゃいだ。
ニューヨークの地下鉄。ちょうど朝の通勤時と重なったため、日本の満員電車ほどではないが車内は結構な混み様。落書きを消した跡が窓を濁らせている。嫁さんは席に座ってウトウト。僕は緊張と好奇心で眠気にも襲われない。 乗客には黒人が多い。ヒスパニックは見当たらない。あとは白人とアジア系がちらほら。中国人のおばさんが携帯電話で話している。不気味に静まり返った車内に響く中国語。さすが強い!というか傍若無人?その娘は雪のような肌をした高校生ぐらいの美人。ママみたいにならないことを祈る。 居眠りする人。無表情に音楽を聴く人。携帯の画面とにらめっこの人。疲れ渦巻く通勤電車は日本の専売特許だと思っていたがとんでもない。ニューヨーク市民も相当な疲れを背負って生きている。それは僕に変な親近感をもたらした。南米に五ヶ月心身を浸してきたあとでは、日本とアメリカの相違よりも類似が際立った。 路線図を見てマンハッタン観光のスタート地点として適当そうなFulton駅で地上に出る。か細い桜を見下す摩天楼。摩天楼の間を吹き抜ける風に翻る星条旗。星条旗の下を足早に歩く人たち。桜の存在を除けば地上の景色はイメージどおりだった。
二機の旅客機が突っ込んで崩壊したツインタワーの跡地を見た。再開発が着々と進んでいた。あの事故から七つ歳を重ねた僕は、素直にそのことを喜べない。 真の加害者と被害者は誰なのか。あれをきっかけに始まった戦争で誰が得をしているのか。この再開発で懐が潤っている人は誰なのか。と、そんなことを考えてしまう。一つ確実なのはここで亡くなった人とその遺族が一番の犠牲者ということ。
次はヘルシンキ。灰色の空が気温以上に寒さを増長させていた。空港から市街地に向かうバスはやけに静か。乗っている間に徐々に晴れ間が。バスの終着点だった鉄道駅前は人通りが少ない。朝が早いせいなのか。
静かな町。空港も、道路も、町並みも、機能的でセンスよく、過不足がなく、非の打ち所が見つからない。唯一人間臭さを感じたのが、雑然と駅前に放置された自転車。ここだけ日本とオーバーラップ。
ヘルシンキの見所なんて知らない。ガイドブックもない。こういうときに頼りになるのがツーリスト・インフォメーション。英語の流暢な美人のお姉さんが教えてくれた観光コースをなぞっていく。 この町一番のメインストリートらしきAleksanterinkatu通り。ヨーロッパにありがちの町並みで別になんてことはない(って、初めてのヨーロッパだけど……)。 一番記憶に残っているのがトランペット吹きのおじさん。チップ狙いというにはこぎれいな格好。趣味でやっているのか。でも、行き交う人たちと比べるとやっぱりみすぼらしい身なりかも。ともあれ、極寒の国では金がないと死に直結するから過酷だ。
お姉さんイチオシのマーケット。掃除の行き届いた長細い体育館のような建物に、生鮮食料品や土産品がきれいに並べられている。面白みはないが、いいものが並んでいる。 ガラスケースの中に並ぶサーモンの切り身に思わずよだれ。数枚の切り身がパンの上に並べられたものが2.5ユーロ(約420円)。美味!そして、バターたっぷりのサーモンシチューが一皿6.5ユーロ(約1,100円)。体が温まる。あとは機内食の残りのサンドイッチ。満腹にはほど遠いこれだけの食事で1,500円。フィンランド、恐るべし。労働者風の男がそういうのを普通に食べているのだから所得水準が日本よりもずっと高いんだろうな。
昼を過ぎると観光客がちらほら見られたが、静かな町という印象は変わらない。安全で、落ち着いてて、足ることを知ってそうな町。少し退屈なのはご愛嬌。緊張感を持たずに歩ける首都とは素晴らしい。でも、四月でこの寒さは僕には絶対無理!惹かれるところがある町だったけど未練はない。
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