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写日記45.霧のケープタウン南アフリカ(ケープタウン周辺) 2008年6月22日~6月26日 来たくて来たくてしょうがなかったアフリカだけど、同時に不安もあった。アフリカの旅はつらいものだと聞いている。移動が大変、飯がまずい、宿が不潔、物価が高い、などなど。政情や治安がよろしくない国もある。 だからといって、そんなところに行きたがる僕をマゾだとは思わないでほしい。そういうネガティブな現実を知っていても、それらを補って余りある魅力がある。ナミブ砂漠やビクトリアの滝、キリマンジャロなどの大自然、そして弱肉強食の世界で生きる野性動物たち。多少のリスクを負ってでも、自分の目で見ておきたいものがこの大陸にはある。 僕らがエジプトから飛んだのは南アフリカという日本人にも馴染みのある国だ。金やダイヤモンドに恵まれ、アフリカ一の先進国で、2010年のFIFAワールドカップ開催国でもある。が、あの悪名高きアパルトヘイト(人種隔離政策)があった国、凶悪犯罪多発国という負の顔をも合わせ持つ。 南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグまでの飛行機ならいくらか安くは済んだが、「世界最悪の犯罪都市」と称される場所に降り立つ気にはなれず、ヨハネスブルグを経由してケープタウンまで一気に飛ぶことにした。しかし、ケープタウンにしても治安がいいわけではなく、あくまでも「マシ」という程度なので油断ならない。
ケープタウンに到着したのは午後五時前で、すでに空は夕方の色を濃くしていた。南半球は今が冬ということは分かっていたが、灼熱のカイロから飛んできたせいもあり思った以上に寒かった。 シャトルバスで市内に向かう。ドライバーの黒ちゃん(僕らは黒人のことを黒ちゃん、白人のことを白ちゃんと呼んでいる)が町の説明をしてくれるが、彼の英語はひどく聞き取りにくかった。そういえば、空港カウンターの白ちゃんにしても独特の訛りがあった。アフリカ訛りの英語というのがあるのだろうか。
左にテーブルマウンテンを見ながら、車は町に入っていった。南アフリカではドミトリーやキッチンのある安宿のことをバックパッカーズと呼ぶ。中心部の近くにあるバックパッカーズにチェックインすると、もうあたりは暗くなりつつあった。
夕食の買出しに近くのスーパーに出かけることにした。ヨーロッパの閑静な住宅街を思わせるような町並みだが、ここは南アフリカ。かなりビビっている。道を尋ねた黒ちゃん青年の人懐っこい笑顔と的確な道案内のおかげで少しは肩の力を抜くことができたが、緊張感を解くことはできない。 買い物を済ませて外に出ると、町は夜霧に包まれていた。人通りが少なくなりつつある道を足早に帰る。闇の中では黒ちゃんの白い目と歯だけが異様に目立つ。表情が読みにくいから、男たちが暗がりにたむろしていたらそれだけで少し怖かった。そして夜霧の寒々しいこと。エジプトの暑さが、エジプト人の笑顔が早くも恋しかった。
南アフリカ、ナミビア、ボツワナの南部アフリカ三ヶ国を車で移動し、キャンプ生活を送りながらあちこちの見所を見て回ろうというのがアフリカ前半のプラン。だからケープタウンでは、レンタカーの手配やマラリア予防薬の調達、キャンプ用の食材や器材の買出しに追われた。 準備に奔走している間に、ケープタウンという町にも慣れてきた。太陽と青空がそろっていれば、テーブルマウンテンを背景にしたケープタウンはいたって平和に映る。日中に中心部を歩いている分には危険な匂いはしないが、時間帯や通りをちょっと間違えると嫌な感じを受ける場所もあった。町なかで一眼レフを取り出す回数はめっきり減った。
アパルトヘイトの廃止から十年以上経ち、黒ちゃんも頑張れば白ちゃんと同じ土俵に立てるという程度には社会は改善されていた。でも、それも恐らくもともと経済的に恵まれ、教育をそれなりに受けた黒ちゃんに限られるのだろう。肉体労働や単純労働に従事している白ちゃんが皆無であるというところにアパルトヘイトの名残を見た気がした。
車を借りたら有名な喜望峰を訪れ、あとは一気にナミビアに向けて北上するつもりでいた。しかし、冬の一日は短い。買出しに手間取った上、道路閉鎖という不運も手伝い、喜望峰を訪れることができたのは車を借りてから二日後の朝だった。
喜望峰を訪れる前の晩、目の前の海をイルカやクジラらしきものが時折姿を見せるキャンプ場に泊まった。夕焼けは燃えるようで、夜空には満天の星。さそり座が日本で夏の夜に見るのとは百八十度逆向きに見えた。寒い夜だったので、買ったばかりの湯たんぽがありがたかった。
翌朝、まだ暗い七時前に起きて喜望峰に向かった。喜望峰を英語で言うとCape of Good Hopeだが、僕らはよく分からずにCape Pointという地点で朝日を眺めていた。帰り際にCape of Good Hopeを見つけたが、歩いて先端まで行くのも面倒なので写真だけ撮っておしまい。 アフリカ縦断の最後に洗練されたケープタウンを経て、ここにたどり着けば感慨もひとしおだろうが、僕らのアフリカの旅はこれからスタート。別に込み上げてくるものもなく、淡々とした観光に終わった。
キャンプ場に戻ると、「テントは寒いでしょう」と向かいのキャンピングカーから出てきた女性がお茶に招いてくれた。彼女の名前はアレクサンドラ、彼氏(旦那?)はマーティン。スイス人のカップルだ。 三年かけてスイスから南アフリカまでキャンピングカーで旅してきた二人。さぞかし絆が深いのだろうと思いきや、「ちょっと一緒にいすぎたから、これからしばらく距離を置くことにしたの」なんてドライなことを言っていた。でも、信頼しあってるからそういうこともできるのかもしれない。
喜望峰の近くのボルダビーチではアフリカペンギンを見た。パタゴニアのマゼランペンギン、ガラパゴスのガラパゴスペンギンに続くペンギン観察だったが、やはり三度目ということもあり感動は小さかった。何事も回数を重ねると飽きが出てくることを実感。
一応喜望峰にタッチしたということで、ここから本格的に南部アフリカレンタカーの旅がスタート。南アフリカの快適な道路を飛ばして一気にナミビアに北上だ!
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