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◆夫婦で世界一周





写日記30.大いなる水

アルゼンチン(ブエノスアイレス、イグアスの滝)

2008年3月9日〜3月16日



キトから飛行機でブエノスアイレスに戻ってきた。南米を長く旅する人でブエノスアイレスに立ち寄らないという人は少ないだろう。ここからパタゴニアへ、ボリビアへ、パラグアイへ、ブラジルへと、移動の拠点としやすいからだ。前回はここからボリビアに抜けた僕らだったが、今回はイグアスの滝を経由してブラジルに向かうつもりだ。


二度目となれば、街の地理もある程度頭に入っているし、勝手も分かっているから気分的に楽だ。ところが困ったのが宿探し。空港から上野山荘ブエノス別館(以下、別館)に電話してみると、既に満室とのこと。前回宿泊したときに居心地がよかったので、今回も頼りにしていたのに残念。


とりあえずバスで市街地まで出て、安めの宿を探し回るが行くところ行くところ満室と断られる。町全体でのこの混みようは理解不能。さらに大きな荷物を抱えてあまりにも旅行者然とした格好をしているからか、サルサ強盗(自分でかけたケチャップを親切にふき取るふりをして盗みを図るケチャップ強盗のサルサソースを使った変形版)未遂に遭うこと二回。何も盗られはしなかったが、カバンや服にサルサの匂いが染み付いて不愉快なこと極まりない。二度目のブエノスアイレスは散々な出だしとなった。


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一ヵ月半ぶりのブエノスアイレス


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パロボラッチョ(訳すと「酔っ払いの木」)のピンクの花が町に彩りを添えてました


途方に暮れた僕らはひとまず別館に避難させてもらうことにした。するとよ〜く見覚えのある顔が。新ちゃんだ!もう南米を離れてスペインに飛んだものと思っていたのに、まさかまだブエノスアイレスにいたとは。


「黒くなったわね〜」の第一声で迎えてくれたオーナーの伊都子さんには日本旅館というほかの日本人宿に泊まる手筈まで整えていただき、前回に続き今回もしょっぱらから世話になりっぱなしだ。


翌日には別館にも空きが出るということだったので大きな荷物を置かせてもらい、身軽な格好で日本旅館に移動した。中心部から遠く、周辺にボリビア人のスラム街がある日本旅館ではあまり出歩く気になれなかったので、近所の韓国焼肉屋に晩飯を食べに行ったきり、宿にこもって漫画に読みふけった。


次の日に改めて別館にチェックインすると、ここで汐見荘以来となる大輔さんと約三ヶ月ぶりの再会!前々からのメールのやり取りでブエノスアイレスに滞在しているのは知っていたので驚きはないが、気の合う同志との再会は嬉しいものだ。


新ちゃんと大輔さんと仲良くなったのはイースター島のMihinoaにて。同じくMihinoaで知り合った清水さんからの置き土産のワインを四人でいただきながら、あの絶海の孤島での懐かしい日々を思い出したりした。まるで日本の居酒屋で飲んでるような居心地のよさに浸りながら。


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清水さんからのワインを片手にMihinoa同窓会


前回もそうだったが別館には独特の空気が流れている感じがする。もちろんいい意味で。気の置けない仲間がいるからか、コロニアルな建物のせいか、高い天井の部屋がそう感じさせるのか、とにかく町歩きよりも別館で油を売っている時間のほうが長くなってしまう。


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このレトロなエレベーターに乗って別館のある三階へ


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扉を開けるとまったりとした空気が……


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窓から見える風景もどこか心地よい


アルゼンチンの代表的なスナックであるエンパナーダの作り方を伊都子さんから教わったり、みんなで牛タンをスーパーで買ってきて料理したりと家庭的な雰囲気に包まれた別館での時間はあっという間。もっと長く滞在したいという思いもあったが、それでなくても南米の旅が延び延びになっている僕ら。自ら尻を叩いてイグアスの滝に向け出発することに。


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伊都子さん指導の下、エンパナーダ作りに挑戦


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見た目はまちまちだけど、どれも味は保証付き!


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スーパーで牛タンを購入


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スライスするのに一苦労


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ちょっと厚めのタン塩完成。うまかった!


大輔さんと一緒にイグアスの滝に向かう気満々だったが、タンゴやサルサに精進しながらもう少しブエノス滞在を満喫するとのこと。残念だけどまたどこかで会えるでしょう。ねっ、同級生!


ルートが重なっている新ちゃんとは南米のあとヨーロッパでまた合流できるかと楽しみにしていたが、諸事情により突然の帰国が決定。最後にバスターミナルまで見送りに来てくれた新ちゃんは、僕らの姿が完全に見えなくなる最後の最後まで手を振ってくれていた。次は日本で会いましょう!


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南米のいろんな場所で一緒に遊んだ新ちゃん。次は日本で!


さて、イグアスの滝。先住民の言葉で「大いなる水」という意味らしい。北米のナイアガラの滝、アフリカのビクトリアの滝と並んで世界三大瀑布の一つであることはよく知られている。が、世界旅行者の間ではナイアガラを同列にすることを疑問視する声も多い。


アメリカのルーズベルト元大統領夫人がイグアスの滝を目にしたときに「ああ、私のかわいそうなナイアガラ……」と嘆いたというエピソードは有名で、イグアスとナイアガラの歴然たる差を示していると言えよう。ちなみにビクトリアは僕もまだ見たことないが、イグアスよりは少し劣ると評する人が多いようである。


前置きが長くなったが、まあ世界一と言っても過言ではないイグアスの滝。僕は二度目なのでややクールに構えていたが、滝好きの嫁さんはイグアスにかける期待が大きいようだ。期待が大きいほどがっかりすることも多いのは世の常だが、果たしてそれを上回る感動を得られるのか。……ちょっとイタズラしてやるか。


アルゼンチンとブラジルの国境に位置するイグアスの滝は、それぞれの国から見学ができる。一日目はブラジル側を訪問。公園内に入ると無料のシャトルバスで散策路の入り口に向かう。散策路を歩き始めるとすぐに三百を超えると言われるイグアスの滝の一端が見えてくる。


その景色は滝の迫力よりも、ジャングルの中を幾筋もの水が流れ落ちる楽園のような雰囲気をウリにしている。嫁さんは一応「へぇ〜」とか言いながら多少の感動を表現しているが、まだまだ大きな見所が先にあると期待しているようだ。それは正解なのだが、「まあ、こんなもんやで」と嘘をついてやる。


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ブラジル側の遊歩道で最初に目に入る景色


もう少し歩くと滝には虹がかかり、水量も増えてくるが、嫁さんはむき出しになっている岩肌を全て滝で埋め尽くすほどの迫力を期待していたらしい。「今年は雨が少なかったんかもな」とテキトーなことを言っておく。心の中で「もう少し待っとき」とほくそ笑みながら。


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緑と水と虹が織り成す景色は楽園のよう


さらに先に進むと木々の間から、今までのとはちょっと格が違う滝が見えるようになる。「悪魔の喉笛」と呼ばれるイグアス最大の見所。遠くからでもその迫力が視界をかすませるほどの水しぶきに伺える。この悪魔の喉笛がきれいに見えるポイントに連れて行って「ほら、どうや!」と驚かせるつもりでいたのに、ここで嫁さんはすでに涙。早っ!


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これを目にした嫁さんは涙を流していました


涙目の嫁さんをつれて、川の中にせり出した散策路を終点まで行くと悪魔の喉笛を最奥部に控えた絶好の展望ポイントに出る。悪魔の喉笛以外にも十分な水量と迫力を備えた滝がいくつも連なっている。嫁さんもここに来るまでに免疫ができたのか、涙の乾いた目で滝をじっと見つめている。


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一番奥にあるのが悪魔の喉笛


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上から見るとまた雰囲気が変わる


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オエッ


翌日はアルゼンチン側に入園。まず滝の真下に突っ込むボートに乗船。どうどうと水を落とす滝の前で船頭が突っ込むタイミングを計っている。動き出すと一気に加速して滝の中へ!視界は真っ白。あまりのしぶきで息苦しいほど。もちろんパンツの中までぐっしょり。


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右前方に見える滝は前座。このあとに……


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こんなことになるのです!


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全身びしょ濡れ。でも大満足!


次に複雑に張り巡らされた散策路をのんびり歩く。アルゼンチン側では森と川と滝が一体となった自然の中を歩くので、チョウが肩に止まったり、グロテスクなトカゲに驚いたり、可愛らしい鳥やワニが泳いでいるのを間近で見れたりする。


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こんな滝がごろごろとある


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マユゲ鳥?


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ちとグロテスクなトカゲ


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マイナスイオン浴びまくり〜


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やっぱりええわぁ〜、イグアス


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いろんな種類のチョウが舞ってました


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散策路にはハナグマも現れる


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ワニ(カイマン)がのんびり泳いでました


でも、やっぱり見逃せないのが悪魔の喉笛。アルゼンチン側では間近で見ることができる。滝の上流側を流れるイグアス川にかけられた橋を渡って展望台へ向かう。いくつ目かの橋を渡っていると、透明な川の水が大地の裂け目に落ち、しぶきで真っ白になっているのが見えてきた。穏やかな川の流れに潜む地獄への入り口さながらだ。


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見えてきた悪魔の喉笛。裂けた大地に水が流れ落ちている


展望台に到着し、滝を見下ろすが滝壺はしぶきに覆われて見えない。カメラのファインダーを覗き込んで途方に暮れる。全容を捉えきれない。どうすればこの迫力を切り取れるのか……。


二重の虹が白い滝に描かれている。嫁さんはブラジル側のほうが好きだとか言いながらも、間近で見る悪魔の喉笛の迫力に涙腺を刺激されているようだ。展望台の左手に目をやると、川がいくつもの滝の水を集めながら、しぶきと緑の中を流れているのが見える。


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カメラでは捉えきれない悪魔の喉笛


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イグアスには泣かされっぱなしの嫁さん


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下流側には幾筋もの滝が連なっているのが見える


全く、大した場所だと思う。自然として超一級品なのはもちろんだが、よくこれだけ人を楽しませてくれるつくりになったものだと感心する。例えばグランドキャニオン。僕はあの大峡谷が大好きだが、つくりとしては大味な感が否めない。どこを見ても似たような景色が続き、やがて人を飽きさせる。


それに比べてイグアスの演出は実に凝っている。最初はジャングルを流れる細い滝筋に肩透かしを食らうかもしれない。しかし、奥に奥に進むにつれ滝は太く多くなり、迫力を増してくる。そして最後にドーンと問答無用の悪魔の喉笛。そこに至るまでは、周辺の動植物を味方につけて観光客を楽しませる。


「大いなる水」に見惚れて、時間感覚が麻痺してしまったようだ。太陽も随分傾いたころ、閉園を知らせる係員に追い返されるようにその場を後にした。



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